貯金が300万円しかないので定年後も働き、年金の繰下げ受給を考えています。「70歳」から年金を受け取るつもりですが損にはならないですよね?
配信日: 2025.03.19

本記事では、年金の繰下げ受給のメリットとデメリットや「何歳から年金を受け取ると得できるのか」ということについて詳しくご紹介します。

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目次
年金を70歳から受け取ることも可能?
国民年金や厚生年金の受給開始年齢は原則65歳とされています。しかし、65歳より前に受け取ったり、66歳以降に受け取ったりすることも可能です。今回の事例では「70歳から年金を受け取りたい」ということなので、66歳以降に受け取れる「繰下げ受給」について見ていきましょう。
日本年金機構によれば、年金の繰下げ受給を利用すると、66歳から75歳までの間で年金の受け取り開始時期を決められます。この場合、最大84%までとして「繰り下げた月数×0.7%」が増額されることになります。受給開始時期を遅らせた分、65歳から受け取るよりも多くの額の年金を受給することが可能ということです。
例えば、請求時の年齢が66歳の場合は8.4%、68歳の場合は25.2%、70歳の場合は42.0%の割合で増額されます。このように、繰下げ受給した場合は受け取り開始時期によって受給金額が変わってくるため、事前に確認しておきましょう。
年金を繰下げ受給するメリット・デメリット
繰下げ受給のメリットには、1回あたりの年金受給額が増えることが挙げられます。増額された年金をそのまま一生涯受け取れるため、長生きするほど多くの年金を受け取れることになるでしょう。
日本年金機構によると、加給年金や振替加算がない場合だと、繰下げ受給をして11年11ヶ月目以降は、65歳から年金を受給していた場合と比べて累積受給額が多くなるということです。
その反面、早く亡くなった場合は亡くなった時点で年金は停止されるので、年金の総受給額が減るおそれがあります。また、繰下げによって年金額が増額することにより、社会保険料や税金の負担が増える可能性があることもデメリットでしょう。年金生活者支援給付金の支給要件から外れてしまうおそれもあるため、注意が必要です。
さらに、加給年金や振替加算は繰下げによる増額の対象にならず、繰り下げ待機期間中は受け取ることができません。その点も考慮したうえで、繰下げ受給すべきかどうか検討した方がよいでしょう。
年金の繰下げ受給が適しているケース
今回の事例では「貯金が300万円しかないので定年後も働きたい」ということですが、この場合は年金の繰下げ受給により得できる可能性があります。
65歳以降も働くことで生活に困らないだけの収入を得られるのであれば、その時点で年金を受給していなくても問題はないでしょう。また、完全にリタイアしたあとの年金受給額を増やすこともできます。
そのほか、受け取る年金の額が少ない人にとっても繰下げ受給は適していると考えられます。年金が増えても社会保険料や税金への影響が少ないため、負担がそれほど変わらない可能性があるためです。
年金を70歳から受け取れるよう繰下げ受給すると年金受給額が増える可能性がある
年金は繰下げ受給することで1回あたりの受給額が増えます。65歳以降も働く予定の人はすぐに年金を受給しなくても生活できると考えられるため、繰下げ受給を選択した方がお得な可能性があります。
ただし、早く亡くなった場合は受給できる年金総額が少なくなってしまったり、社会保険料や税金の負担が大きくなったりするおそれがあるため、慎重に検討した方がよいでしょう。
今回の事例のように「貯金が少なく定年後も働きたい」という人には繰下げ受給が適していると考えられるため、早めに計画を立てておくことをおすすめします。
出典
日本年金機構 老齢年金の制度 年金の繰上げ・繰下げ受給 年金の繰下げ受給
日本年金機構 令和5年11月6日 全国年金委員研修【資料5】 老齢年金の繰下げ制度 2.繰下げ制度のメリットと注意事項(3~4ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー