定年後、元同僚と「年金額」の話に! 自分のほうが「月額5000円」ほど少ないようだけど、同じように働いてきたのになぜ? 理由を解説
配信日: 2025.03.22

しかし、年金額は単純な計算で画一的に決まるのではなく、さまざまな条件や要素を踏まえ算出されます。本記事では、年金の受給額がどのように計算されるのか、元同僚との年金額がなぜ異なっているのかについて解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金の基本構成
公的年金は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の二本立ての制度です。国民年金は日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する年金で、会社員や公務員など給与を得ている人はさらに厚生年金に加入しています。
厚生年金は加入期間や給与額によって受給額が変わるため、同じ職場で働いていたとしても違いが生じることがあります。
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厚生年金の受給金額
会社員が加入する厚生年金には「報酬比例部分」と「定額部分」がありますが、「報酬比例部分」が金額の多くを占めます。報酬比例部分として受け取れる年金額の年額は次の計算式で求められます(平成15年4月以降の加入期間の場合)。
・平均標準報酬額×5.481÷1000×加入月数
「平均標準報酬額」は、厚生年金加入期間中の標準報酬月額(給与の額を一定の幅で区切ったもの)と標準賞与額の平均額のことです。そして、標準報酬月額は原則として毎年4月・5月・6月の3ヶ月間の給料(残業含む総支給額が基準)を基に計算されます。
同じ職場だった同僚と年金額が違う理由
同じ職場で同じように働いていた同僚と年金額が違う理由としては、「平均標準報酬額」と「加入月数」が異なることが考えられます。
同じ企業でも、給与が異なれば「平均標準報酬額」が異なります。また、給与が同じでも、標準報酬月額は4~6月の給料を基準としますので、この期間の残業の有無などによって給料に大きな差があれば、結果として「平均標準報酬額」が異なる可能性もあります。
「加入月数」については、転職や育児・介護などで厚生年金の加入期間が短くなれば、その分年金額は減ります。また、退職後の再就職先で厚生年金に加入していたかどうかも、受給額に影響を与えます。
例えば、会社を元同僚と同じタイミングの60歳で退職し、自分はその後働かず、元同僚は再雇用されて厚生年金に加入した場合、元同僚の分は増加するでしょう。
なお、年金制度は改正が行われることがあり、いつ受給を開始するかのタイミングによっても受給金額が変わってくる可能性があります。元同期が少し年上であった場合、元同僚が年金をもらい始めた時と、自身が受給を開始した時では、制度の変更により年金額の算出方法が変わっているといったケースもあり得ます。
加入期間・給与額の違いでどれくらい年金受給額に差が出る?
それでは、加入期間や給与額の違いによって、どれくらい厚生年金の報酬比例部分に差が出るのかを見ていきましょう。なお、今回は年齢差を考慮しないこととします。
・Aさん 平均標準報酬月額:30万円 加入期間:40年
・Bさん 平均標準報酬月額:32万円 加入期間:40年
この前提でもらえる報酬比例部分の年額は、Aさんが78万9264円、Bさんが84万1882円で、その差は年間5万2618円です。
・Aさん 平均標準報酬月額:32万円 加入期間:37年
・Bさん 平均標準報酬月額:32万円 加入期間:40年
この前提でもらえる報酬比例部分の年額は、Aさんが77万8740円、Bさんが84万1882円で、その差は年間6万3142円です。
事例1・2とも、AさんとBさんが受け取る年金額は、だいたい月額にして5000円ほどの差が出ました。場合によっては、同じ会社で働いていてもその差がもっと大きくなることもあるでしょう。
まとめ
年金額は、加入期間、給与水準、退職後の働き方、制度改正など、さまざまな条件や要素によって決まります。
そのため、一見同じような境遇で同じように働いていたように見えても、受け取る年金額に差が出ることがあります。年金は長期間にわたって形成されるため、少しの違いが最終的に大きな差を生むことも少なくありません。
老後の生活設計を考える上でも、基礎的なことを理解しておきましょう。
出典
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー