老後の年金は夫婦で「20万円」はある見込みです。仮に夫が先に亡くなったら、私は半分の「10万円」で暮らすことになるのでしょうか?

配信日: 2025.04.12

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老後の年金は夫婦で「20万円」はある見込みです。仮に夫が先に亡くなったら、私は半分の「10万円」で暮らすことになるのでしょうか?
夫婦の年金の見込み額を見て「物足りないなぁ」と感じる人は多いのではないでしょうか。もしも配偶者を亡くして1人になったら、生活していけるだけの金額をもらえるのか不安になる人もいるでしょう。
 
本記事では、配偶者に先立たれたときに受け取れる年金の種類や金額の考え方をまとめました。ぜひ、自身の状況と照らし合わせて考えてみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

夫が先に亡くなった場合に受け取れる可能性がある年金は自分の老齢年金と夫の遺族年金

最初に表題の質問に回答すると、夫が先に亡くなった場合に妻が受け取れる老齢年金の金額は、夫婦で受け取れるはずだった年金額を2分の1にした金額ではありません。夫が先に亡くなり受給要件を満たした場合、妻は次の2種類の年金を受け取る権利を得ます。
 

・妻自分自身の老齢年金
・夫の遺族年金

 
妻に厚生年金加入期間がある場合、妻自身の老齢年金として老齢厚生年金を受け取れます。妻に厚生年金加入期間がない場合、受け取れるのは老齢基礎年金です。
 
また、夫が亡くなった時点で厚生年金に加入していた場合、妻が30歳以上であれば終生、子のない30歳未満の妻は5年間、夫の厚生年金報酬比例部分の4分の3の遺族厚生年金を受け取る権利を得ます(収入等の要件あり)。夫が国民年金加入者の場合、子どもが18歳の3月31日を迎えるまでの間に限り、遺族基礎年金が受け取れます。
 
なお、妻が亡くなった場合、夫が遺族年金を受け取るには原則として55歳以上であることが必要です。ただし、実際に年金が支給されるのは60歳からからとなります(若年停止制度による)。また、遺族基礎年金を受給できる場合に限り、55~60歳の間でも遺族厚生年金を受給することが可能です。
 
これには妻が国民年金または厚生年金に加入していたこと、生計維持要件を満たしていたことなど、一定の要件を満たす必要があります。
 
これらの年金の金額は、夫婦がそれぞれ加入してきた年金の種類や、保険料を納めた期間、金額などで変わるものです。そのため、妻の受給額は必ずしも老齢年金の見込み額を夫婦の頭数で分けた金額にはなりません。
 
例えば、妻に厚生年金加入期間がなく、夫が厚生年金加入中に亡くなったケースを考えてみましょう。
 
例えば、20万円の年金見込み額の内訳が、妻の老齢基礎年金:7万円、夫の年金:13万円(老齢基礎年金7万円、老齢厚生年金6万円、20~60歳まで継続した場合の加入月数:456月)とします。夫が55歳0ヶ月で亡くなったとすると、実際の加入月数は396月となるため、遺族厚生年金の支給額は「6万円×3/4×396/456=約3万9000円」と試算できます。
 
妻が受け取れる年金額は、「自身の基礎年金約7万円+夫の遺族厚生年金約3万9000円=約10万9000円」の見込みとなる計算です。
 

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夫の遺族年金と自分の老齢年金は併給できるの?

公的年金は、1人1年金を原則としています。そのため、支給事由が異なる2つ以上の年金の併給は本来できません。ただし、65歳以後の特例として、老齢基礎年金と遺族厚生年金の併給が認められています。
 
老齢厚生年金と遺族厚生年金を受け取る権利がある場合は、原則として自身の老齢厚生年金を優先して受け取ることになります。ただし、遺族厚生年金のほうが老齢厚生年金より金額が大きい場合に限り、差額も受け取ることが可能です。
 
老齢年金を繰上げ受給する場合は、65歳になるまでの間、遺族厚生年金との併給ができないため注意が必要です。
 

遺族年金制度の見直しが検討されている! 内容をチェック

2025年3月の時点では、遺族厚生年金制度の見直しが検討されています。さまざまな見直しのポイントがありますが、妻が夫に先立たれるケースに大きく関連するのは次の点です。
 

・子のない60歳未満の有期給付化
・有期給付加算による増額
・婚姻中の厚生年金期間の死亡分割

 
「子のない60歳未満の有期給付化」とは、子のない配偶者への遺族厚生年金の給付を5年間の有期給付にする案です。ボーダーラインを40歳未満から段階的に動かし、20年後をめどに60歳未満まで引き上げることが検討されています。
 
「有期給付加算による増額」「婚姻中の厚生年金期間の死亡分割」とは、有期給付化にともなう配慮措置です。有期給付加算により現行制度よりも給付額を増額することや、婚姻期間中の厚生年金を分割して遺族の老齢年金を手厚くすることが案として挙げられています。
 
遺族厚生年金制度が改正されると、配偶者亡き後の生活プランに大きく影響する可能性があります。そのため、今後の動きを注視する必要があるでしょう。
 

老齢年金や遺族年金の制度内容を整理しよう

配偶者が亡くなると、生前に加入していた年金制度などの条件によって、遺された側が受け取れる年金の金額が変わります。制度を理解していなければ、「年金額がもらえると思っていた金額よりもずっと少ない」といった事態が起こりかねません。老齢年金や遺族年金の制度を理解して、万が一のときに備えておくことが大切です。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 年金の併給または選択
日本年金機構 年金の繰上げ受給
厚生労働省 遺族年金制度等の見直しについて2
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
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