年金を「月15万円」もらいながら、会社員としても「月給20万円」を受け取る父。確定申告したか聞いたら「どちらも税金が引かれてるから不要」とのことだけど、本当に大丈夫? 申告しない場合のペナルティも解説

配信日: 2025.04.17 更新日: 2025.10.21
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年金を「月15万円」もらいながら、会社員としても「月給20万円」を受け取る父。確定申告したか聞いたら「どちらも税金が引かれてるから不要」とのことだけど、本当に大丈夫? 申告しない場合のペナルティも解説
納税は国民の三大義務の1つで、本来であれば各自が確定申告をし、税金を計算して納税する必要があります。ただし、会社員の場合は毎月の源泉徴収と年末調整が、年金受給者の場合は毎月の源泉徴収があるため、多くの人は確定申告が不要です。
 
では、会社で働いて給料をもらいながら、年金も受給している人はどうでしょうか。確かにどちらも税金が差し引かれているため、一見確定申告は不要のように思えます。しかし、給与に対する税金は「給与しかもらっていない前提」、年金に対する税金は「年金しかもらっていない前提」で計算されています。
 
給与と年金を両方受け取っている場合は、それに応じた再計算、つまり確定申告が必要です。
 
本記事では、年金受給者が確定申告をしなければならない条件や、申告しなかった場合のペナルティ、そして確定申告が必要だったと気づいた場合の対処法を解説します。
浜崎遥翔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

年金受給者が確定申告をしなくてよいケースとは?

月20万円の給与収入と、月15万円の公的年金収入があるケースを考えてみましょう。年金受給者の場合、以下の3つの条件をすべて満たしている場合は、確定申告が不要とされています。

●公的年金等の収入が400万円以下
●公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
●公的年金以外の所得が年に20万円以下

本ケースの場合、年金は月15万円×12ヶ月=180万円なので、「公的年金の収入が400万円以下」という条件は満たしています。しかし、給与収入があるため、3つ目の条件が問題です。
 
給与収入は月20万円×12ヶ月=240万円ですが、給与収入全額が「給与所得」となるわけではありません。給与所得は、「給与収入-給与所得控除」で計算します。
 
給与所得控除の計算式は収入額によって異なりますが、180万円超360万円の場合の計算式は「収入金額×30%+8万円」です。つまり、給与収入が240万円の場合は、給与所得控除が240万円×30%+8万円=80万円となるため、給与所得は240万円-80万円=160万円となります。
 
給与所得が20万円を超えることとなり、「公的年金以外の所得が20万円以下」を満たせず、確定申告の義務が発生するのです。
 
なお、給与所得控除の最低金額は55万円(2025年以降に受け取る給与収入からは65万円に引き上げ)なので、給与収入が年間75万円以下(同85万円)で、かつ公的年金以外の所得がない場合は、確定申告が不要ということになります。
 

確定申告を行わなかった場合のペナルティ

確定申告が必要にもかかわらず申告をしなかった場合、延滞税や無申告加算税が発生します。
 
延滞税は、確定申告の期限を過ぎてしまった場合、日数に応じて発生する税金です。税率は期限を過ぎて2ヶ月以内の部分に対しては年2.4%ですが、2ヶ月を超えた部分に対しては年8.7%に上がります(税率はどちらも2025年分の場合)。
 
また、無申告加算税は、確定申告をしていなかった場合に課される罰則的な税金です。税務署から調査の事前通知が来る前に、自主的に期限後申告をした場合の税率は5%となります。一方、税務署からの調査通知後に期限後申告をした場合は、納付すべき税金の金額に応じて10%から最大30%まで税率が上がることに注意が必要です。
 

期限を過ぎていた場合の対処法

確定申告が必要であったのに期限を過ぎていた場合は、できるだけ早く申告することが重要です。
 
延滞税は期限を過ぎれば過ぎるほど金額が大きくなってしまうため、1日でも早く対応したほうが負担は軽くなります。特に2ヶ月を超えると一気に税率が上がってしまうため、早めに納税を済ませたいところです。
 
また、無申告加算税は「申告期限から1ヶ月以内に自主的に申告する」、かつ「申告期限後、速やかに申告して税金を納付する」、かつ「過去5年間に無申告加算税や重加算税を課されたことがない」などの条件を満たせば免除されます。
 
期限を過ぎた時点で、ペナルティをゼロにすることはできません。それでも少しでも小さくするために、期限後であってもなるべく早く対応することが大切です。
 

確定申告が必要かどうか、正しく理解することが大切

公的年金を受給しているだけであれば確定申告は不要ですが、公的年金以外の所得があり、それが20万円を超えている場合は確定申告が必須となります。
 
また、確定申告をしていなかった場合、延滞税や無申告加算税が発生するため、できるだけ早く自主的に申告することが重要です。特に1ヶ月以内に自主的に申告すれば、無申告加算税が免除される可能性があります。
 
「年金からも給与からも税金が引かれているから申告しなくていい」と思っている人も多いですが、年金収入と給与収入の合算によって確定申告が必要になるケースは少なくありません。自分の所得状況をしっかり確認し、必要に応じて早めに対応することが大切です。
 

出典

国税庁 公的年金等を受給されている方へ
国税庁 No.1410 給与所得控除
財務省 令和7年度税制改正の大綱
国税庁 延滞税の割合
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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