令和7年度の年金支給額は、前年度の「約2%」引き上げに…!物価高が続く中、年金だけで生活はできる?
そこで本記事では、令和7年度の年金支給額引き上げについて解説します。年金だけで生活できるのか、家計収支と照らし合わせた数字もご紹介します。
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令和7年度の年金引き上げについて
総務省が公表した「令和6年平均の全国消費者物価指数」を踏まえて、令和7年の年金額が前年より1.9%引き上げられることが厚生労働省より発表されました。
年金額は、物価や賃金の変化に合わせて、毎年調整される仕組みです。ただし、物価の上昇が給料の伸びを上回る場合には、今の現役世代が無理なく負担できるようにするために、物価ではなく「給料の変動率」に合わせて年金額が見直されます。
令和7年度の年金額の例として、国民年金(老齢基礎年金(満額))は月額6万8000円から6万9308円へ、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は月額22万8372円から23万2784円へ引き上げられました。年間では、国民年金は83万1696円、厚生年金では279万3408円です。
なお、厚生年金の支給額は、男性の平均的な収入45万5000円で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金満額)の給付水準です。
65歳以上の消費支出と年金支給額のバランスは?
総務省統計局が公表する「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における消費支出は25万6521円です。 おもな支出の内訳を表1にまとめました。
表1
| 支出内訳 | 金額 |
|---|---|
| 食料 | 7万6352円 |
| 住居 | 1万6432円 |
| 光熱・水道 | 2万1919円 |
| 家具・家事用品 | 1万2265円 |
| 被服および履物 | 5590円 |
| 保健医療 | 1万8383円 |
| 交通・通信 | 2万7768円 |
| 教養娯楽 | 2万5377円 |
出典:総務省統計局「家計調査報告書 家計収支編(令和6年)」を基に筆者作成
おもな支出が、食料や光熱・水道とライフラインを支える項目です。今後はさらに物価高の影響で、支出額が増加することも予想されます。
例えば、厚生年金として月に23万2784円支給されるとすると、平均支出額である25万6521円には2万3737円不足します。また、国民年金の場合は、支給額が大幅に下回り年金だけでは生活できないでしょう。
年金だけに頼らずに、働いているときから老後の貯蓄をしたり、年金をもらいながら働くことを検討したりと、マネープランを考えて実行するのも方法の一つです。
また、厚生労働省では「年金生活者支援給付金制度」という制度も設けています。年金だけでは生活が大変な人をサポートするために創設された制度で、公的年金の収入やその他の所得が、一定の基準より少ない人を対象に、年金にプラスして給付金が支給されます。
なお、支給要件が定められているうえ、申請が必要な制度です。お困りの際は、専用ダイヤルから相談してみてもいいでしょう。
年金額は引き上げられたものの、年金だけでは生活費が不足する可能性がある
令和7年度の年金支給額は1.9%引き上げられました。これにより国民年金は約1300円、厚生年金は約4000円アップします。総務省統計局が調査した、無職世帯の夫婦(65歳以上)の平均支出額は約26万円ですが、年金などの平均的な収入額ではこの額を満たさない可能性が考えられます。
今後の物価高の影響を考えると、さらに差が出てしまう可能性もあるでしょう。年金だけに頼らず、早くから貯蓄を始めたり、年金をもらいながら働くことを視野に入れたりするなど、将来の資金計画を早めに考えておくと安心です。
出典
厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~
総務省 統計局 家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要(19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
