元同僚は自分より年収が「100万円」少なかったけど、年金額は「繰り下げるから、お前より100万円多くもらえる」とのこと。私は65歳から受け取るつもりですが、本当にそんなこと可能なのでしょうか?
年金は基本的には65歳からもらい始めますが、受給開始年齢を遅らせるとその分受給金額が増えます。
本記事では、現役時代の年収が500万円で65歳から年金を受け取り始める人に対し、年収が400万円だった同僚の年金額が上回ることはあるのか解説します。
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年収と年金の関係
会社員が受け取る年金は、厚生年金の加入期間や年収次第で受給額が変わります。基本的に、現役時代の年収が高いほど年金受給額は多くなりますが、「繰下げ受給」を利用すると、年収が低くても受給額を大幅に増やせる可能性があります。
具体的には、66歳以降に受給開始時期を繰り下げると、65歳からもらうはずだった年金額に対し、1ヶ月ごとに0.7%が増額されます。
年金額をシミュレーション
今回は、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」を利用して、年金額を見ていきましょう。
【年金受給額のシミュレーション】
まずは年金をいくらもらえるのか、下記前提にて「公的年金シミュレーター」にて計算していきます。
●生年月日:1963年7月1日(満61歳)
●就労年齢:22歳~60歳
●年収:500万円
この場合、65歳から受け取れる年金は年間で180万円です。
続いて、同僚の年金額をシミュレーションしていきます。今回は生年月日と就労年齢は相談者と同じ前提で、年収は400万円とした場合について、受給開始年齢を操作していきます。
65歳:158万円
66歳:171万円
67歳:185万円
68歳:198万円
69歳:211万円
70歳:224万円
71歳:238万円
72歳:251万円
73歳:264万円
74歳:277万円
75歳:291万円
このように、65歳や66歳で受給を開始した場合は相談者よりも年金受給額は少ないですが、67歳で逆転しました。また、繰下げ受給の上限である75歳まで繰り下げると、ついに相談者よりも100万円多くなります。
年収は100万円少なかったけど、繰下げで年金を100万円多くもらえるというのは、決してあり得ない話ではないでしょう。
年金の受給開始年齢を繰り下げるリスク
年金の繰下げ受給は、受給開始を遅らせることで毎年の年金受給額を増やせるメリットがあります。今回のシミュレーションを見て、「自分も75歳まで繰り下げようか」と思う人もいるでしょう。
しかし、年金を繰り下げることにはリスクもあるので、注意点を認識しておくことが大切です。
まず、繰下げをしている間に亡くなるリスクが挙げられます。
年金は受け取りを開始しないと支給されませんので、繰下げを選択したまま亡くなった場合、一円も受け取らずに終わることとなります。
長生きする自信がある場合、繰下げ受給は有効な戦略ですが、「いつ亡くなるか」は誰にも分かりません。75歳で受け取り始めるまで生きていたとしても、その後すぐに亡くなってしまうと、ほとんど年金を受け取ることがないということも考えられます
また、年金を受け取らずに受給を待っている間の収入は確保する必要があります。75歳まで年金を受け取らない場合でも、生活費は必要です。そのため、生活費は貯金や資産運用、就労などによって補わなければなりません。
まとめ
年収が100万円少なかった人でも、受給開始時期を75歳まで繰り下げることで、年収が多かった人の年金受給額を上回る可能性があります。ただし、75歳まで年金を受け取れないデメリットや、長生きできるかどうか、受け取るまでの生活費などを考慮する必要があります。
繰下げ受給を検討する際には、しっかりと生活費や年金受給額などをシミュレーションしておきましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
