来年20歳になる娘から「年金を親が払うとお得らしい」と言われました。これって本当なのでしょうか?
配信日: 2025.04.25

本記事では、子どもの国民年金は親が払った方がお得なのかや国民年金の学生納付特例制度について、さらに親が納付する際の注意点もあわせて解説します。子どもの国民年金を払うべきなのか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

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目次
子どもの国民年金は親が払った方がお得?
20歳になると、たとえ学生でも国民年金に加入しなければなりません。しかし、学生のあいだは収入が少ない場合も多く、すぐに年金を払うのは大変でしょう。
そんなときに利用できるのが「学生納付特例制度」です。これは「いまは払わなくてもよい」という猶予をもらえる制度です。
ただし、この制度を使った場合、将来の年金をしっかり受け取るには追納といって、あとからその分を払う必要があります。日本年金機構によると、追納には期限があり、学生納付特例の承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降になると経過期間に応じた加算額が上乗せされてしまいます。
だからこそ、親が子どもの代わりに年金を払っておくと、追納額が高くなるのを防げて安心です。しかも、親にとってもうれしいポイントがあります。それは、子どもの年金を払った分を社会保険料として申告すれば、所得税や住民税をいくらか抑えられるかもしれないということです。
つまり、子どもは将来受け取れる年金を減らさずにすみ、親は税金が少し安くなるという、お互いにとってメリットがある選択といえるのです。
国民年金の学生納付特例制度とは
学生は収入が少なく、保険料の支払いが難しい方もいます。そんなときに使えるのが「学生納付特例制度」です。
この制度を使えば、在学中は保険料の支払いを猶予してもらえます。猶予とは、払わなくてよいのではなく、あとで払えばよいという意味で、将来的に収入が安定してからの追納が前提となっています。
日本年金機構によると、申請には、学生証や年金手帳のコピーなどの書類が必要で、特例を受けようとする年度の前年における本人の所得が一定以下であることが条件です。さらに、特例を使っていた期間の分の保険料は、追納しないと将来受け取れる年金額が減ってしまいます。
ただし、猶予された保険料の追納は、いつでもできるわけではありません。追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内に限られており、しかも前述の通り、特例の承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降になると加算額が上乗せされて、支払う保険料が少し高くなってしまいます。
親が子どもの国民年金を前納するときの注意点
国民年金は1年分などまとめて前納することができますが、親が子どもの国民年金を前納して支払っている場合、子どもが学生から社会人になる際に重複して支払ってしまうリスクがあります。
一般的に子どもが社会人になると、厚生年金に加入します。厚生年金は、会社員として働くと加入することになり、給料から天引きされるシステムです。このとき、すでに国民年金を前納していた期間と重なると、同じ期間の保険料が二重に支払われていることになるのです。
しかし、手続きをすれば重複してしまった分の国民年金保険料は、戻ってきます。日本年金機構によれば、重複して納付したことが判明した場合、日本年金機構から「国民年金保険料還付請求書」が届きます。必要事項を記入して返送すれば、重複した分が返金されます。該当する場合は忘れずに手続きするようにしましょう。
子どもが学生の場合、親が代わりに国民年金を払うとお得になる可能性がある
学生時代は収入が少なく、国民年金の支払いが難しいこともありますが、学生納付特例制度を活用すれば、支払いを猶予してもらえます。ただし、追納には期限や加算金があるため、将来の負担を考えると、親が代わりに支払っておくのも選択肢のひとつです。
親が支払うことで、税金の控除を受けられる場合もあり、家計にとってもメリットがあります。ただし、前納した場合は、子どもが就職して厚生年金に加入すると、保険料が重複するリスクがあるため、必要に応じて還付手続きも忘れずに行いましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 年金Q&A(国民年金の保険料) Q 重複して納めた国民年金保険料を返してもらうにはどうしたらいいですか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー