年収500万円の人は、毎月「4万円」を年金保険料として払ってる!? 年金は「受け取り金額が少なくて損」と言われてるけど、支払った保険料の元をとることは不可能なのでしょうか?
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会社員が加入する公的年金は2種類
日本の公的年金制度は、2階建て構造と呼ばれています。1階部分は、20歳以上60歳未満の全ての国民が加入する国民年金(基礎年金)で、2階部分は、会社員や公務員が加入する厚生年金です。
会社員は毎月厚生年金保険料を支払っていますが、その保険料の中に国民年金分も含まれており、将来は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つを受け取れます。
本記事では、20歳から60歳まで同じ会社で勤務し、その間の平均年収が500万円の場合における、年金保険料と受け取る年金額を計算していきます。
年収500万円の会社員が負担する年金保険料
厚生年金保険料は、標準報酬月額に基づいて計算されます。標準報酬月額とは、給与や賞与などの報酬を一定の幅で区切った等級に当てはめた金額です。年収500万円の場合、月収は約41万7000円となり、標準報酬月額は41万円に該当します。
厚生年金の保険料率は、18.3%(令和7年度)で、労使折半となっています。つまり、従業員の負担分は9.15%です。よって、標準報酬月額が41万円の場合、月額保険料は以下のようになります。
・41万円×9.15%=3万7515円
年収500万円の会社員が将来受け取れる年金
会社員が将来受け取れる年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つです。
まず老齢基礎年金ですが、40年間(480ヶ月)保険料を納めた場合、満額で受け取ることができます。令和7年度の満額は年間83万1700円で、今回のケースでは満額受け取れます。
老齢厚生年金の受給額は、いくつかを合計した金額となりますが、今回はメインの「報酬比例部分」について見ていきます。報酬比例部分は、在職中の平均標準報酬額と加入期間に基づいて計算されます。今回の場合、報酬比例部分は次の式で計算します。
・41万円×5.481÷1000×12ヶ月×40年=107万8661円
したがって、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合計すると、年間191万361円(83万1700円 + 107万8661円)を受け取ることができます。
何歳まで生きれば支払った保険料分を取り戻せる?
それでは、支払った保険料分を取り戻すためには、何歳まで生きればいいのでしょうか。これまでの計算を基に、生涯の保険料負担額と受取額を比較してみましょう。
【生涯の保険料負担額】
・3万7515円×12ヶ月×40年=1800万7200円
【生涯の年金受取額】
年金は基本的には65歳以降、生涯受け取ることが可能です。最新の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳です。男性が65~81歳の16年間、女性が65~87歳の22年間年金を受け取った場合、年金受取額の総額は次のとおりです。
・男性:191万361円×16年=3056万5776円
・女性:191万361円×22年=4202万7942円
このように、平均寿命まで生きれば、支払った保険料の総額である約1800万円を男女とも大きく上回ります。
ちなみに、年金受取額の総額が支払った保険料を超えるのは、65歳から年金を受け取った場合、受け取り開始から9年半くらいたった時点(74歳)です。つまり、だいたい74歳か75歳あたりまで生きれば、負担した保険料分を取り戻せるという計算になります。
まとめ
年収500万円の会社員が毎月約4万円の年金保険料を40年間支払った場合、支払総額は約1800万円です。65歳から年間約190万円の年金を受け取ることができ、75歳頃まで生きれば、支払った保険料を回収できる計算になります。
公的年金は生涯受け取れるため、長生きすればするほど、受け取る年金総額は増えていきます。
そのため、「年金は損」と単純に考えるのではなく、長生きすればするほど得をする仕組みであることを理解し、老後の生活設計に役立てることが重要だといえるでしょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和7年度版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
