父は年金を「月30万円」受け取れるそうです。現役時代にいくらくらい稼いでいたのでしょうか?
今回は、年金を月30万円受け取れる収入の目安や、実際に月30万円の年金を受け取っている方の割合などについてご紹介します。
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目次
年金を月に30万円受け取れる収入はいくらくらい?
年金額を計算する場合、厚生年金(老齢厚生年金)額は基本的に報酬比例部分を基にします。日本年金機構によれば、報酬比例部分は厚生年金の加入期間によって計算式が変わり、以下の通りです。
●平成15年3月以前の加入期間:平均標準報酬月額×0.007125×加入月数
●平成15年4月以降の加入期間:平均標準報酬額×0.005481×加入月数
もし両期間にまたがっている場合は、それぞれの加入期間で計算したあと合計します。
例えば、以下の条件で厚生年金に加入していた場合に、年金を月30万円受け取れる収入目安を求めてみましょう。
●国民年金(老齢基礎年金)は満額納付済み
●老齢基礎年金は令和7年度の金額
●厚生年金に加入したのは平成15年4月以降
●22~65歳まで厚生年金に加入
●報酬比例部分が老齢厚生年金の金額
●65歳から受給開始
まず、国民年金を満額納付していると、令和7年度の金額で老齢基礎年金は月6万9308円のため、月30万円の年金を受け取るには老齢厚生年金だけで23万692円必要です。
報酬比例部分に当てはめると、「平均標準報酬額×0.005481×516ヶ月(43年)=23万692円×12ヶ月」なので、平均標準報酬額は約97万8823円になります。平均標準報酬額は、加入期間の収入やボーナスを基に決められる、標準報酬月額と標準賞与額の合計から算出したおおよその1ヶ月の収入目安です。
日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)」によれば、標準報酬月額は報酬月額63万5000円以上で最高額の65万円となるため、「(97万8823円-65万円)×12ヶ月」の約394万5876円が、年間賞与額の目安になります。
つまり、月30万円の年金を受け取るためには月に63万5000円以上の収入、年間のボーナスは394万5876円以上が目安と考えられます。
ただし、標準賞与額は年3回以下、1回につき150万円が上限という条件のため、合計で目安の金額を超えている必要があります。
年金を月に30万円以上受け取っている人はどれくらい?
厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均年金月額は14万6429円です。そのため、月30万円の年金を受け取っていると、平均年金月額の2倍以上を受給していることになります。
同資料によると、令和5年度末時点で老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取っている方は1605万4729人です。そのうち、月に30万円以上受け取っている方は1万4292人なので、全体の約0.09%になります。
全体の0.1%に満たない人数なので、月30万円を年金で受け取れる方は少ないといえるでしょう。
年金を少しでも多く受け取る方法は?
老後の年金額を増やす方法としては、現役時代の年収を増やす、繰下げ受給をする、iDeCo(個人型確定拠出年金)で運用して私的年金を受け取るなどがあります。
繰下げ受給とは、通常65歳から受け取る年金の受給タイミングを遅らせることで、「遅らせた月数×0.7%」多く老齢年金を受け取れる制度です。上限75歳0ヶ月、最大84%増加した金額を受給できます。
iDeCoでは、掛け金を基に運用し、60歳以降に年金として受け取るか、一時金としてまとめて受け取るかを選択できる点が特徴です。
収入を増やすことが難しい場合は、年金額を増やすためにこうした制度を活用することも検討しましょう。
現役時代の月の収入が63万5000円以上、年間賞与が394万5876円以上あると受け取れる可能性がある
年金を月30万円受け取るためには、令和7年度時点で月の収入が63万5000円以上、年間賞与が394万5876円以上は必要な計算です。実際に月30万円以上受け取っている方は、令和5年度時点で全体の約0.09%であることから、年金を月30万円受け取る方は少ないといえるでしょう。
もし年金額を少しでも増やしたいなら、収入を増やす以外にも繰下げ受給やiDeCoを活用する方法があります。ただし、繰下げ受給は受け取るまでの年金収入がなくなる、iDeCoは60歳まで引き出せないなどのデメリットもあるので、自身の貯金や家計状況も考慮して制度を活用するか決めるとよいでしょう。
出典
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 (参考資料3)厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数(26ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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