「月収8万円」のパート主婦。もし年収500万円の夫が死亡した場合「遺族年金」はいくらもらえる? 10年前に“戸建て”を購入した場合で収支をシミュレーション
配信日: 2025.05.08

本記事では、夫の年収500万円で、10年前に戸建てを購入したものの、夫に万一のことがあった際、妻のパート収入(月8万円)で生活はできるのかについて、どう考えればよいのかを順番に解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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まずは遺族年金について考える
夫が会社員で厚生年金に加入していた場合、妻には主に「遺族厚生年金」と「遺族基礎年金」が支給される可能性があります。
「遺族厚生年金」とは、厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に、遺族に対して支給される厚生年金のことを指します。また、支給される金額は年収や勤務期間によって異なりますが、年収500万円で20年間同じ会社に勤めていたと仮定すると、遺族厚生年金は年間で約40万円です。
続いて「遺族基礎年金」ですが、こちらは18歳になった年度末までの子どもがいる(障害等級1級または2級の場合は20歳未満)場合に支給され、2024年度の金額は年間で81万6000円と、子どもが2人までは1人につき23万4800円、3人目以降は1人につき7万8300円が加算されます。
例えば、夫が年収500万円の会社員で、遺族厚生年金が月3万3000円程度支給される場合、妻のパート収入(月8万円)と合わせると、月に約11万円の収入になります。さらに子どもが1人いればプラスして毎月約8万8000円がもらえますが、子どもがいない場合は遺族基礎年金が支給されません。
現在の支出を整理する
万一の際の遺族年金の金額を計算するとともに、現在の支出を整理します。支出は家庭によってさまざまですが、総務省の2024年の家計調査によると、2人以上の勤労者世帯の消費支出の全国平均は約32万5000円です。なお、内訳は次のとおりです。
・食料:8万8000円
・住居:1万9000円
・光熱・水道:2万2800円
・家具・家事用品:1万3200円
・被服および履物:1万1600円
・保健医療:1万3800円
・交通・通信:5万円
・教育:1万8500円
・教養娯楽:3万1700円
・その他:5万6700円
この支出はあくまでも全国平均ですが、まずは自分たちの場合どれくらいかかっているかを整理することが大切です。
なお、現在の世帯収入(夫の年収500万円+妻のパート月8万円)であれば、この支出をまかなうことができているかもしれません。しかし、夫の収入がなくなった場合、支出をどこまで減らせるかがカギになります。
住宅ローンは団体信用生命保険で免除される?
持ち家の場合、毎月の住宅ローンが家計の中で大きな割合を占める場合も多いでしょう。
「万一の際には住宅ローンの支払いはどうしよう……」と考えるかもしれませんが、多くの住宅ローンには「団体信用生命保険(団信)」が付帯しています。
これは、契約者が亡くなった際に、残りのローンが免除される制度です。万一の際を考える際には、必ず団信の加入状況を確認しておきましょう。
遺族年金とパート収入で生活費を試算する
それでは、具体的に夫が亡くなった場合の収入と支出を計算してみましょう。今回は子どもが1人いる場合で、支出は前記した平均値を基準とします。今回の前提において、夫が亡くなった後の収入の月額は次のとおりです。
・遺族厚生年金:3万3000円
・遺族基礎年金:8万8000円
・妻のパート収入:8万円
・合計:20万1000円
続いて支出ですが、元々32万5000円だったとしても、夫が亡くなった後の支出は減ります。仮に3割減ったとすると、支出は約22万7500円となります。
今回の試算では、取りあえずは収入と支出にそこまでの差は出ない結果になりました。実際にどうなるかは各家庭によって異なりますので、自分に置き換えて計算してみましょう。
まとめ
夫に万一のことがあった場合、妻のパート収入(月8万円)と遺族年金だけで生活できるかどうかは、住宅ローンの有無や家計状況によって大きく変わります。
突然の出来事に直面すると、冷静に判断するのが難しくなります。そのため、元気なうちに、「もしものとき」のシミュレーションを夫婦でしておくことが大切です。1人で抱え込まず、まずは夫婦で話し合いをすることから始めてみたり、整理できないなら専門家へ相談したりしても良いでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2024年
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー