40歳「年収500万円」の会社員。学生時代に“学生納付特例”を利用してたけど、もう「追納」はできませんか? 将来の年金額は、どれだけ減ったのでしょうか? これからできる対策も解説

配信日: 2025.05.11

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40歳「年収500万円」の会社員。学生時代に“学生納付特例”を利用してたけど、もう「追納」はできませんか? 将来の年金額は、どれだけ減ったのでしょうか? これからできる対策も解説
「学生納付特例制度」を学生時代に利用していたという人は少なくないと思います。「学生納付特例制度を利用していたけど、今から追納はできるの? 」「追納できない場合、年金額はどれくらい減るの? 」といった疑問を抱える人も多いのではないでしょうか。
 
本記事では、現在40歳の会社員が学生時代20~22歳までの2年間、学生納付特例を利用していた場合、これから追納できるのか、また、追納できなかった場合の年金額への影響、これからできる対策について解説します。
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学生納付特例制度とは?

学生納付特例制度とは、大学や専門学校などに通う20歳以上の学生が、経済的な理由で国民年金保険料の支払いが難しい場合に、納付を猶予できる制度です。この制度を利用すると、猶予されている期間は年金の受給資格期間にはカウントされますが、納付をしなかった分は年金額には反映されません。
 
そのため、将来の年金額を増やすには「追納」が必要となります。
 

40歳からの追納はできる?

学生納付特例制度を利用していた期間に納付しなかった保険料は、その分が年金額に反映されませんが、「追納」、つまり保険料の後払いをすれば、老齢基礎年金の受給額を増やせます。
 
学生納付特例を利用した場合、猶予された期間の保険料は「10年以内」であれば追納できます。しかし、本記事のケースにおいて、40歳では当時の猶予期間から10年以上が経過しているため、追納はできません。
 

22歳から60歳まで会社員として働いた場合の年金額

会社員の場合、国民年金と厚生年金に加入しており、原則65歳から「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」を受け取れます。22歳で就職、60歳まで38年間厚生年金に加入し、学生納付特例の分を追納していない場合、65歳以降に受け取れる年金額はいくらになるのか見ていきましょう。
 
まず老齢基礎年金ですが、こちらは40年間納付した場合、満額の年間83万1700円(令和7年度)が受け取れます。ただし、今回は2年間分が差し引かれますので、受け取れる年金は年間で79万115円です。
 
老齢厚生年金はいくつか種類がありますが、今回はメインの報酬比例部分について見ていきます。報酬比例部分の年額は次の式で求められます。
 
・平均標準報酬額 × 0.005481 × 加入月数
 
働いていた期間の平均年収が500万円の場合、平均標準報酬額は41万円になり、加入月数は38年×12ヶ月の456ヶ月ですので、計算すると102万4728円です。
 
つまり、受け取れる年金額は老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計で181万4843円となります。
 

2年間の学生納付特例制度で減った年金額

学生納付特例制度を活用し、年金保険料を2年間納めなかった結果、未納分がなければ年間で満額83万1700円が受け取れる老齢基礎年金は、年間79万115円となります。その差は約4万円です。
 
仮に、65歳から年金を受給して85歳まで生きたとすると、20年分で差額は合計で80万円になりますので、決して小さな金額ではないでしょう。
 

これからできる対策

本記事のケースで「追納」はできないことが分かりましたが、別の手段で減った分の年金額を補うことは可能です。
 
代表的なものは国民年金の「任意加入制度」です。任意加入制度を利用すれば、60歳以降65歳になるまでの間、国民年金に加入して国民年金保険料を支払うことができます。そうすることで、2年間分の年金の未納分を埋められます。
 
ほかにも、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC(企業型確定拠出年金)などを利用すれば、将来の年金額増加も期待できるでしょう。
 

まとめ

学生納付特例を2年間利用した場合、その期間は受給資格期間には含まれますが、年金額には反映されません。10年超が経過した40歳の時点では追納ができず、結果として年金額が年あたり約4万円減額されます。
 
しかし、60歳以降の「国民年金任意加入」やiDeCo、企業型確定拠出年金の活用などで、年金額の不足を補うことが可能です。できる対策をしっかり考え、将来の年金を賢く増やしていきましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和7年度版)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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