「専業主婦は年金が少ない」と聞いたのですが、実際いくらくらいなのでしょうか? 50歳になって子育ても落ち着き、働いて老後の資金を増やすべきか悩んでいます。
専業主婦(夫)の場合、受給できるのは老齢基礎年金のみとなるため、老後が心配であれば、子育てが落ち着いたころに働くことも選択肢の1つです。今回は、専業主婦が受け取れる年金額や、働くことで年金額がどう変わるかなどについて紹介します。
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目次
専業主婦は年金をいくらくらい受け取れる?
学校を卒業してすぐに会社員の夫と結婚し、専業主婦になった場合、将来受け取れるのは老齢基礎年金のみです。未納や免除などの期間なく40年間すべての保険料を納めると、令和7年度時点での老齢基礎年金の満額は月額6万9308円のため、年間83万1696円を受け取れることになります。
ただし、老齢基礎年金の受給額は国民年金の納付状況によって変わるため、人によっては満額より少ない可能性もあるでしょう。厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータによると、国民年金の平均受給月額は、令和5年度で5万7700円です。
令和5年度の老齢基礎年金の満額は月額で6万6250円のため、満額と比較して平均受給額は1万円近く低いことになります。もし学生期間は特例納付を利用していたものの追納をしていない期間があるなどの場合は、受け取れる金額が減るため、受給金額を計算するときは注意が必要です。
夫の扶養内で働くメリットはある?
50歳になってから働く場合、その収入額により配偶者の扶養から外れるか外れないかで年金額は異なります。扶養内で働く場合は厚生年金の対象にならないため、老後に受け取れる年金も老齢基礎年金のみです。扶養を外れて働き自分で厚生年金を含む社会保険に加入した場合、老齢厚生年金も受け取れます。
一方で、扶養内で働くと税金や社会保険料の負担は軽くなるでしょう。これは夫が加入する年金制度が保険料を負担しているためです。また、夫も扶養控除で税額軽減につながるメリットもあります。
支払う税額や社会保険料を少しでも減らしたいなら扶養内、老後の年金額を増やすことにフォーカスするなら厚生年金保険の適用を受ける事業所で、扶養を外れて働くとよいでしょう。
50歳から働くと老後の年金はどれくらい増やせる?
そこで、50歳から65歳まで扶養を外れて働いた場合、65歳から受け取れる年金額を計算しましょう。条件は以下の通りです。
・50歳から年収200万円で勤務し、厚生年金に加入したとする
・勤務期間の給料は一定とする
・国民年金は満額支払っている
・老齢基礎年金額は令和7年度のものとする
・厚生年金には平成15年4月以降で50歳になったときに加入し、65歳0ヶ月まで加入
・報酬比例部分を老齢厚生年金額とする
・報酬月額が月収と同じとする
・賞与は考慮しない
年収200万円のため月収は約16万6667円、標準報酬月額は11等級・17万円となります。
老齢厚生年金額の報酬比例部分は、平成15年4月以降の場合は「平均標準報酬額×5.481÷1000×加入月数」で計算できます。平均標準報酬額は賞与と収入から求めるため、今回の条件だと17万円です。
計算式に当てはめると「17万円×5.481÷1000×180ヶ月」となり、老齢厚生年金額は年間で約16万7719円です。
また、老齢基礎年金額は満額の83万1696円のため、老齢厚生年金額と合わせた99万9415円を受給できます。国民年金のみと比較すると、月額で1万3977円増加する計算です。
令和7年度の金額なら専業主婦は年間83万1696円を受け取れる
厚生年金に一度も加入したことがなく、会社員の夫の扶養に入る専業主婦の場合、将来受け取れる年金は老齢基礎年金のみです。夫の扶養に入る前の期間に国民年金を満額納付していれば、年83万1696円を受け取れます(令和7年度時点)。
もし50歳からフルタイムで働くなど収入アップをめざす場合は、夫の扶養内にするか扶養を外れるかよく考えて決めましょう。どちらにするかによって、税額負担や老後に受け取る年金額に差が出ます。
もし自身で厚生年金に加入して50歳から65歳まで年収200万円で働くと試算すると、受け取れる年金額は年約16万7719円増加するでしょう。
出典
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 Ⅲ.国民年金 (2)給付状況 表20 国民年金 受給者の平均年金月額の推移
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
