月収と年金が合計「51万円以上」で年金支給額が少なくなる「在職老齢年金制度」。支給額が少なくなった人はどれくらい?

配信日: 2025.05.15 更新日: 2025.10.21
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月収と年金が合計「51万円以上」で年金支給額が少なくなる「在職老齢年金制度」。支給額が少なくなった人はどれくらい?
年金には多様な種類がありますが、老後に受け取る年金の1つに「在職老齢年金」があります。厚生年金に加入している状態で受け取る年金ですが、条件によっては年金が少なくなる可能性のある年金です。
 
今回は、在職老齢年金の概要や実際に支給停止対象者となった人の割合、65歳以降も厚生年金に加入し続けるメリットなどについてご紹介します。
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在職老齢年金の概要

在職老齢年金とは、働きながら受け取る年金のことを指すようです。日本年金機構によると、厚生年金保険に加入して働いている状態で年金を受け取る場合、「老齢厚生年金額+給料」の合計が支給停止調整額を超えた場合、その一部または全額が支給停止になるとされています。
 
なお、令和7年度の支給停止調整額は、月に51万円です。もし、年金を全額受け取りつつ働きたいのであれば、収入を「51万円-老齢厚生年金額」以内に納める必要があると考えられます。
 

在職老齢年金により支給額が減った人はどれくらい?

厚生労働省年金局が公表している「在職老齢年金制度について」によると、令和4年度末時点で当時の支給停止調整額を超え、一部もしくは全額が支給停止となっている方は50万人でした。
 
在職で年金を受け取っている方のうち、16%は年金を一部もしくは全額停止状態になっていることが分かります。平成25年度末時点での人数と比較すると、支給停止対象者は約24万人増加している結果です。
 
これは、定年退職後も働き続ける方が増えていること、賃金も上昇していることなどが要因として考えられます。実際、同資料によると、平成25年までの直近10年間で60代後半の男性の就業率は約11%、70代前半だと約12%上昇していました。女性も60代後半は約13%、70代前半は約9%上昇しています。
 
賃金の面で見てみると、65~69歳男性の平均賃金は平成25年時点で月27万2000円だったのに対し、令和5年には月31万円です。女性も、平成25年時点では月21万1000円だったものが令和5年時点で月22万9000円と、少しではありますが上昇しています。
 
支給停止額があまり大きく変わっていなかったとすると、賃金と就業率が増えればそれだけ支給停止の対象になる方も増加すると考えられるでしょう。
 

厚生年金に加入し続けると総額は増える可能性がある

65歳以降に厚生年金に加入し続けるメリットもあります。65歳以降に働いていると「在職定時改定」と呼ばれる年金額の見直しがなされる点です。
 
在職定時改定では、65~70歳未満の間で老齢厚生年金の受給権を有する方に対し、前年9月~当年8月までの1年間の厚生年金加入状態を年金額に反映し、10月分から改定されます。そのため、もし、支給停止されない範囲で働いているのであれば、受け取れる年金額を増やしながら給与収入も得られる可能性があるのです。
 
ただし、定時改定後に支給停止調整額を超えると、一部が支給停止となる場合があるので注意しましょう。会社に相談して勤務時間を調整することも方法の1つだと考えられます。
 

令和4年度末時点で支給停止となっている高齢者は16%

在職老齢年金では「老齢厚生年金額+給料」が定められている支給停止調整額を超えると、一部もしくは全額が支給停止されるといわれています。令和7年度時点の支給停止調整額は51万円のため、もし、退職後も働く予定の方は意識するとよいでしょう。
 
厚生労働省年金局の資料によると、令和4年度末時点での在職老齢年金を受け取っている方の16%が、支給停止対象者となっているようです。過去10年と比較すると増加傾向にあり、理由としては就業率と平均賃金の増加が考えられるでしょう。
 
なお、厚生年金に加入しており支給停止にもならなければ、在職定時改定により、働きながら受け取れる年金額が1年単位で増えていくとされています。少しでも老後の年金を増やしたいときは、支給停止にならない範囲で働けば、65歳で退職して年金を受け取るより多くの年金を受け取れる可能性があるでしょう。
 

出典

日本年金機構 60歳以降も引き続き勤めます。勤めていても年金は受けられますか。
厚生労働省年金局 在職老齢年金制度について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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