一部の65歳以上が受け取れる「加給年金」。受給できるのはどのような人?
定年後に働く予定がない人の場合、年金のみが収入源になるかもしれません。その場合、少しでも受給額を増やしたいと思うかもしれませんが、そのうえで「加給年金」がひとつの助けになる可能性があります。
本記事では「加給年金」の概要について解説します。
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「加給年金」とは
「加給年金」とは、厚生年金に関連した仕組みです。一定の条件を満たすと、老齢厚生年金に加算したお金がもらえます。
後述するように、加給年金は厚生年金保険の被保険者に生計を維持されている配偶者または子どもに関連してプラスされるものです。そのため加給年金は、いわば扶養手当のような役割を果たすといえるでしょう。
加給年金を受け取れる条件
加給年金を受け取るおもな条件は「年齢」と「加入期間」「被保険者に生計を維持されている人」です。日本年金機構によれば、おおまかな条件は以下の通りです。
・厚生年金保険の被保険者としての期間が20年以上ある人が、65歳になる、もしくは定額部分(「特別支給の老齢厚生年金」において65歳からの老齢基礎年金に相当する部分)の支給開始年齢に到達し、その時点でその人に生計を維持されている配偶者か子どもがいること
65歳もしくは定額部分支給開始年齢に到達した「後」に、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上になる場合は、以下のタイミングで生計を維持されている配偶者か子どもがいれば加算されます。
・在職定時改定時
厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受給している65歳以上70歳未満の人が、9月1日において厚生年金保険加入者であるときに、翌10月分の年金額から見直しが行われること
・退職改定時
厚生年金保険に加入しながら老齢厚生年金を受給している70歳未満の人が退職して1ヶ月経過したときに、退職翌月分の年金額から見直されること
・70歳到達時
なお、厚生年金保険の被保険者期間(20年)の例外として「共済組合等の加入期間を除く厚生年金保険の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降、15年から19年ある場合」も対象となります。
加算される年金額
加給年金額の加算額はあらかじめ決められています。表1にまとめてあるように、「配偶者」「1人目・2人目の子ども」「3人目以降の子ども」の3カテゴリーを基に支給されます。
表1
| 対象者 | 加算額 ※令和7年4月から |
年齢制限 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 23万9300円 | 65歳未満 (大正15年4月1日以前に生まれた配偶者は年齢制限なし) |
| 1人目・2人目の子ども | それぞれ23万9300円 | 18歳到達年度の末日までの間の子 もしくは1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子 |
| 3人目以降の子ども | それぞれ7万9800円 |
出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」を基に筆者作成
配偶者については、表1の加算額とは別に「特別加算額」が発生する可能性があります。令和7年4月からは、老齢厚生年金の受給者の生年月日に応じて、3万5400円~17万6600円の金額が特別加算されます。
加給年金の申請方法
加給年金は自動的にもらえるものではありません。受給するには、届け出る必要があります。
提出する書類は「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」です。日本年金機構のホームページからフォーマットや記入例を見つけられます。
また、以下書類の添付(コピー不可)が必要です。
●受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本(記載事項証明書)
●世帯全員の住民票の写し
●配偶者や子どもなど加給年金額の対象者の所得証明書か非課税証明書のうちいずれか1つ(加算開始日からみて直近のもの)
不明な点については、最寄りの年金事務所などへ問い合わせできます。
加給年金は厚生年金の加算システム
加給年金制度は、厚生年金保険の被保険者を対象にした制度です。年齢や生計を維持されている家族の存在など一定の条件を満たす人が受給資格を得ます。
受給すると、数十万円の加算額をプラスしてもらえることもあるため、該当者は年金事務所などに問い合わせて申請するとよいでしょう。
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 加給年金額を受けられるようになったとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
