65歳の定年後も「再雇用」で働く予定です。働きながら「年金14万円」を全額受給することはできますか?

配信日: 2025.05.15 更新日: 2025.10.21
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65歳の定年後も「再雇用」で働く予定です。働きながら「年金14万円」を全額受給することはできますか?
65歳の定年を迎えた後も、「再雇用制度」を利用して働き続ける方が増えています。生活費や生きがいのために働く一方で、「年金は減らされないのか?」という不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
 
特に、毎月14万円ほどの年金を受給している方にとって、それを減額されずに受け取りながら働く方法は気になるところです。本記事では、在職老齢年金の仕組みや、年金を減額されずに全額受給するためのポイントを解説します。
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在職老齢年金とは?

在職老齢年金とは、60歳以上で老齢厚生年金を受給しながら厚生年金に加入しながら働く場合に適用される制度です。この制度では、年金を受け取りながら働くことができる一方で、働いて得た収入によっては老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となることがあります。
 
なお、老齢基礎年金(いわゆる国民年金部分)は働いていても原則として全額支給されます。支給停止の対象となるのは、厚生年金に加入していた人が受け取る「老齢厚生年金」の部分です。
 
働いていても年金をそのまま受け取れるのか、それとも一部が減額されるのかは、「収入」と「年金額」の合計で判断されます。
 

年金14万円を満額受給するための条件

在職老齢年金の仕組みでは、65歳以上の場合、「年金月額」と「総報酬月額相当額」の合計が51万円を超えると、超過分の2分の1が年金から減額されます。

●年金月額:受け取っている老齢厚生年金の1ヶ月あたりの金額
●総報酬月額相当額:標準報酬月額に、直近1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額を足した額

年金が月14万円の場合、給与の月額が37万円までであれば、合計51万円を超えないため、年金は全額支給されます。
 
しかし、仮に給与が39万円あった場合、14万円+39万円=53万円となり、51万円を2万円オーバーします。するとその超過額の半分である「1万円分」が年金から減額され、受給額は13万円となってしまいます。
 
つまり、給与額次第で、年金額が調整されるのが在職老齢年金制度の特徴です。
 

年金を減額されずに働くための工夫

では、年金を減額されずに働きたい場合、どのような対策が取れるでしょうか。以下の工夫を行うことで、年金の支給停止を回避できる可能性があります。
 

給与を調整する

毎月の給与が高すぎると、年金が減額されてしまいます。再雇用契約の際に、年金月額と総報酬月額相当額を確認し、合計が51万円を超えないよう、給与額を調整してもらえるか相談してみましょう。
 

就業時間を調整する

週の労働時間や勤務日数を抑えることで、厚生年金の加入対象外となる可能性があります。たとえば、週20時間未満または月収8万8000円未満の場合は、厚生年金の加入義務がなくなるため、在職老齢年金の対象から外れ、年金が満額支給されます。
 
ただし、これは雇用保険や健康保険の取り扱いにも影響するため、社会保険全体を見て判断する必要があります。
 

個人事業主やフリーランスとして働く

再雇用以外の選択肢として、退職後に個人事業主やフリーランスとして働く道もあります。この場合、厚生年金には加入しないため、在職老齢年金の制度の対象外となり、年金は減額されません。ただし、収入に応じた税金や国民健康保険の負担も考慮する必要があります。
 

働き方を工夫すれば、年金は減額されない

65歳以降も働く人が増えるなか、「年金は減らされたくない」というのは多くの方にとって共通の思いです。月14万円の年金を全額受給するには、「収入との合計が51万円以内」であることがカギになります。
 
給与を調整したり、勤務時間を短くしたり、働き方を工夫することで、年金の支給停止を防ぐことは可能です。再雇用の条件や、自身の収入見込みをよく確認した上で、納得のいく働き方を選びましょう。
 
「働く」ことと「年金を受け取る」ことをうまく両立させることで、65歳以降の生活はより豊かに、安定したものになります。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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