70歳以降も「会社員」として働く父。厚生年金保険料は「給料」から引き続き引かれるのでしょうか?

配信日: 2025.05.19

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70歳以降も「会社員」として働く父。厚生年金保険料は「給料」から引き続き引かれるのでしょうか?
70歳以降も会社員として働く際、厚生年金の支払い対象になるかは年金の受給資格を満たしているか否かでかわります。
 
もし年金の受給資格を満たしていない方が70歳以降も働く場合、条件によっては厚生年金に加入できるケースがあるので、確認しておきましょう。
 
今回は、厚生年金保険料の70歳以降における加入資格や加入時の注意点、収入から引かれる保険料額の例などについてご紹介します。
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厚生年金保険料は基本的に70歳まで

基本的に、厚生年金保険は70歳まで加入する公的年金保険です。70歳を超えると被保険者ではなくなり、給料からも天引きされません。そのため、70歳以降で働いていても、厚生年金保険料の支払期間が増えないため、年金額も一定です。
 
しかし、日本年金機構によると、以下の条件を満たしていると70歳以降も厚生年金保険に加入できるケースがあります。


・加入期間が老齢年金の受給要件を満たしていない
・70歳以降も会社で勤務している

ただし、厚生年金保険に70歳以降も加入したいときは、勤務している会社の所在地を管轄する年金事務所へ申請用の書類の提出が必要です。
 
申請書類の提出は、会社ではなく申請したい本人が行います。申請時期は任意ですが、老齢年金の受給資格を満たさないと年金が受け取れないため、できるだけ早く申請した方がよいでしょう。
 

申請時の注意点

70歳以降で働く方が、厚生年金に加入する際の申請書類は2種類です。
 
勤務先が厚生年金保険の適用事業所であれば「高齢任意加入被保険者資格取得申出書」、厚生年金保険の適用事業所以外であれば「高齢任意加入被保険者資格取得申請書」を提出する必要があります。名前が似ているため、提出するときに間違えないようにしましょう。
 
また、日本年金機構によると、申請書類以外に以下の書類などの添付も必要です。


・職務経歴が分かる書類
・報酬月額が分かる書類
・申出/申請書に基礎年金番号を記載しているなら基礎年金番号が分かる書類
・申出/申請書にマイナンバーを記載しているならマイナンバーカードの提示もしくはマイナンバーが記載された住民票の写し(住民票記載事項証明書)

なお、70歳以降で厚生年金に加入するときは、勤務先が保険料の支払いについて同意していれば、保険料は勤務先との折半です。しかし、厚生年金保険の適用事業所で70歳以降も働くケースにおいて、勤務先が同意しない場合は全額を労働者が負担することになります。
 
折半するときの納付義務は勤務先にありますが、折半しないときの納付義務者は本人です。保険料を督促指定期限までに支払わなければ資格が失われるため、70歳以降も勤務するときは勤務先に保険料を負担してもらえるか確認しましょう。
 

厚生年金に加入すると保険料はいくらかかる?

日本年金機構によると、厚生年金保険料率は平成29年9月から一律18.3%です。保険料は月収ではなく、税金が引かれる前の給与を一定金額ごとに区分した「報酬月額」に当てはめて決められる「標準報酬月額」が計算に使われます。
 
厚生年金保険における現在の標準報酬月額は8万8000円~65万円の32等級に分かれており、各等級の標準報酬月額の金額に保険料率をかけた金額が負担金額です。ただし、勤務先が折半に同意している場合は、計算した金額の半額になります。
 
例えば、報酬月額が21万円のとき、「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和7年度版)」によれば、標準報酬月額は等級15の22万円です。厚生年金保険料率をかけると「22万円×18.3%」となり、4万260円になります。もし、勤務先と折半する場合は、自己負担額は2万130円です。
 

条件を満たして任意で厚生年金に加入した場合は給料から差し引かれるケースがある

70歳以降も働く場合、年金の加入期間による受給条件を満たしていれば、厚生年金保険には加入しなくなります。そのため、厚生年金保険料の支払いもありません。
 
しかし、年金の受給権を有していない労働者で条件を満たして任意で加入した場合は、厚生年金保険料を支払うことになります。
 
勤務先が厚生年金保険の適用事業所の場合、勤務先が同意しなければ保険料は全額自己負担です。もし、年金の受給要件に加入期間が足りないものの、保険料の負担が不安な場合は、申請をする前に勤務先へ相談するとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和7年度版)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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