「確定拠出年金の“マッチング拠出”で税金が安くなる」という新入社員の息子。初任給23万円で「月5000円くらい考え中」とのことですが、どれだけ節税になるのでしょうか? 節税効果を確認

配信日: 2025.05.19

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「確定拠出年金の“マッチング拠出”で税金が安くなる」という新入社員の息子。初任給23万円で「月5000円くらい考え中」とのことですが、どれだけ節税になるのでしょうか? 節税効果を確認
社会人になったばかりの息子が、「確定拠出年金で税金が安くなるらしいよ」と言い始めたとき、親としてはどう受け止めるのが適切でしょうか。企業型DC(企業型確定拠出年金)の制度がある会社では、新入社員研修などの場でこうした説明がされることもあるようです。
 
「税金が安くなる」という言葉にはひかれるかもしれません。実際、企業型DCに自分のお金を追加で拠出する「マッチング拠出」をすることで税額控除を受けられますが、これだけを目的に拠出するのは慎重に考えたいところです。
 
本記事では、企業型DCの「マッチング拠出」について、仕組みや税金が安くなる理由、始める前に知っておきたい注意点を整理します。

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浜崎遥翔

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マッチング拠出とは?

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、会社が従業員のために毎月掛金を拠出し、そのお金を従業員本人が自分で運用していく制度です。運用した資産は60歳以降に一時金として一括で、年金として数年間に分けて受け取ります。
 
退職金の一部もしくは全部をこの形で準備する企業もあり、最近では新卒社員向けにこの制度の説明が行われることが多いようです。
 
この企業型DCでは自分のお金を上乗せできる場合があります。これが「マッチング拠出」です。例えば会社が拠出する5000円にプラスして、毎月の給料から5000円を追加で拠出します。これにより将来もらえる金額を増やせるわけです。
 
ただし、自分の拠出分の上限は会社の掛け金と同額まで、または企業の掛け金と合わせて月5万5000円までと定められています。
 

企業型DCマッチング拠出のメリットは?

マッチング拠出には、2つの節税効果があります。実際にどれくらいの節税になるのでしょうか。
 

所得控除による節税効果

マッチング拠出をすると、自分で拠出した金額がそのまま所得控除の対象になります。これにより毎年の所得税と住民税が減るというわけです。
 
例えば年収322万円(月収23万円+ボーナス2ヶ月分)の新入社員が、月に5000円(年間6万円)マッチング拠出を行った場合を考えてみましょう。
 
マッチング拠出の掛け金6万円の全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。所得控除を受けることにより課税所得を減らせ、結果的に所得税と住民税が軽減されるのです。
 
軽減できる所得税・住民税の金額は、所得控除額×税率分で計算できます。まず、所得税は所得金額によって税率が変わる累進課税です。年収322万円の多くは所得税率5%が適用されるため、所得税を3000円減らせます。
 
一方で住民税は所得にかかわらず一律10%です。住民税の節税額は6万円の10%にあたる6000円となります。つまり、新入社員の場合、毎月5000円のマッチング拠出により、毎年9000円の節税効果が得られるのです。
 

運用益に対する節税効果

マッチング拠出のもう1つの大きなメリットは、運用益に税金がかからないという点です。通常、資産運用で得た利益には約20%の税金がかかりますが、確定拠出年金の中で得た運用益には課税されません。
 
例えば、毎月5000円の拠出を38年間続け、年利3%で運用した場合、最終的な資産は約424万円になります。このうち元本は228万円で、残りの196万円は運用益です。通常は運用益の20%、約39万円の税金がかかります。
 
しかし確定拠出年金の制度を使うことでこの39万円は納める必要がないのです。
 

マッチング拠出のデメリットや注意点は?

節税効果や運用益非課税といったメリットがある一方で、マッチング拠出にはいくつか注意すべき点もあります。
 
最も大きなデメリットは、一度拠出したお金は原則60歳まで引き出せないということです。将来の資産形成にはなりますが、生活の変化や収支の不安定さに備える資金とは分けて考える必要があります。
 
また、運用に関するリスクも無視できません。確定拠出年金では定期預金、保険、投資信託などを選んで運用しますが、中には元本割れのリスクがあるものもあります。とはいえ、リスクが低いものを選ぶと運用益が期待できず、運用益非課税というメリットを享受できません。
 
どういった商品を使って運用すべきか、ある程度知識をつける必要はあるでしょう。
 

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まとめ

マッチング拠出は、節税効果や運用益非課税といったメリットを持つ制度です。月5000円という少額でも、年間9000円の節税と運用益に対する非課税効果が期待できます。例えば、年率3%で運用できれば運用益196万円を合わせた424万円の資産となり、約39万円となる税金もかかりません。老後の備えとして検討する余地の高いものといえるでしょう。
 
一方で、60歳まで引き出せないことや、運用による元本割れのリスクがあることなど、注意すべき点もあります。メリットばかりに目を向けず、自分の生活や将来設計に合った制度かどうかを冷静に見極めることが大切です。
 
まずは仕組みを理解し、無理のない範囲から始めてみる。それが、長く続けるための一歩になるかもしれません。
 

出典

一般社団法人 投資信託協会 企業型DC(企業型確定拠出年金)ってなあに?-制度の概要-
国税庁 No.2260 所得税の税率
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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