もうすぐ60歳で「貯蓄2000万円」があります。友人に「年金を60歳から受け取ると損」と言われましたが、なぜでしょうか? 判断のポイントを解説

配信日: 2025.05.22 更新日: 2025.10.21
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もうすぐ60歳で「貯蓄2000万円」があります。友人に「年金を60歳から受け取ると損」と言われましたが、なぜでしょうか? 判断のポイントを解説
もうすぐ60歳を迎え、老後の生活を考え始めると、年金を「いつから受け取るべきか」という悩みに直面する人も多いでしょう。年金は60歳から受給を開始することが可能ですが、「できるだけ遅らせたほうが得になる」といった話を耳にすることもあります。
 
実際に、「早く受け取る場合」と「遅く受け取る場合」では、年金の受給額が大きく変わります。しかし、受け取り時期を「得か損か」だけで決めるのは少し危険です。
 
本記事では、年金の基礎知識に触れたうえで、60歳から受け取るメリット・デメリット、そして判断のポイントについて解説します。
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公的年金受給の基本

通常の場合、公的年金の受給開始年齢は65歳ですが、60歳から64歳までの間に繰り上げる、66歳から75歳までの間に繰り下げることが可能です。そして、受給開始時期を繰り上げると月々の年金額は減り、繰り下げると月々の年金額が増えます。
 
具体的には、受給開始年齢を65歳よりも1ヶ月繰り上げるごとに、65歳からもらうはずだった金額よりも支給額が0.4%ずつ減少します。例えば、60歳で開始すると、24%減額されます。
 
繰下げの場合は、受給開始年齢を1ヶ月繰り下げるたびに「支給額が0.7%増加」し、75歳まで繰り下げると84%増額されます。
 
一般的に、長生きすれば年金を繰り下げるほうが得と言われるのは、この増額率が影響しているのです。
 

60歳から年金を受け取るメリットとデメリット

60歳から年金を受け取る場合、事前にメリットとデメリットを把握しておくことが大切です。
 
まずメリットですが、例えば60歳で定年退職した場合は、60歳から受給を開始すれば、65歳から受け取る場合と比べると貯蓄を減らさずに生活費を補うことができます。働く意欲がなくなった場合でも、すぐに年金が受け取れるのは安心材料になるでしょう。
 
また、繰上げ受給は月々の受給額が減るものの、早くから受け取れるため、長生きしなかった場合には、受給総額が65歳開始よりも多くなる可能性があります。年齢とともに健康リスクが高まるため、医療費などの備えとして早めに年金を受け取るのも1つの選択肢と言えるでしょう。
 
一方、友人が懸念するように、繰上げ受給は時には「損をする」ようなデメリットがあります。毎月の受給額が減りますので、長生きした場合には受け取れる年金総額が少なくなる場合があるのです。
 
また、60歳といえばまだまだ元気な人も多く、働きながら年金を受け取る人も大勢います。ただし、働きながら年金を受け取る場合、一定の収入を超えると年金が調整されることがある「在職老齢年金制度」に注意が必要です。
 

判断のポイント

60歳から年金を受給するかどうかは、単に損か得かではなく、いくつかのポイントを総合的に考えたいところです。具体的なポイントを見ていきましょう。
 

1. 収支のバランス

本記事の事例では、手元に2000万円の貯蓄があるとはいえ、長い老後を考えると資金計画が重要です。毎年の支出と収入をシミュレーションし、2000万円の貯蓄でどれだけ耐えられるのかなどを考慮したうえで、年金受給開始時期を決めることが大切です。
 
毎月の支出が多く、貯蓄と年金での赤字が大きい場合、年金の受給を早めるメリットが大きくなります。
 

2. 仕事を続けるかどうか

60歳以降も働く予定があるなら、収入との兼ね合いを考える必要があります。在職老齢年金の仕組みをチェックし、働きながらでも受け取るのか、それとも65歳まで待つのかを判断しましょう。
 

3. 健康状態や寿命

健康に不安がある場合は、早めに受給するのも選択肢です。一方、健康で長生きできそうなら、繰り下げて受給額を増やすのも良いでしょう。
 

まとめ

年金の受給開始時期は、「損か得か」だけでなく、自分のライフスタイルや健康状態、資産状況を踏まえて慎重に決めることが重要です。60歳から受け取ることで早期の生活安定を優先するのも1つの方法ですが、長生きすることによるリスクも考えなければなりません。
 
最適な選択は人それぞれ異なります。家計を見直し、将来の収支をシミュレーションしながら、自分にとって納得のいく選択をしましょう。場合によっては、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのも有効です。
 
自身の人生設計に合った年金の受け取り方を見つけ、充実した老後生活を迎えましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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