夫が間もなく「定年退職」です。退職したらもう「厚生年金」に加入できないのでしょうか?

配信日: 2025.05.24 更新日: 2025.10.21
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夫が間もなく「定年退職」です。退職したらもう「厚生年金」に加入できないのでしょうか?
夫の定年退職が近づくと、年金や健康保険など今後の生活設計について、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。中でも、「厚生年金」に関する疑問は非常に多く寄せられます。
 
「退職したらもう厚生年金には入れないの?」「再雇用された場合はどうなるの?」といった疑問を解消するために、本記事では厚生年金の仕組みや、定年後の働き方に応じた加入可否について解説します。
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定年退職後も厚生年金に再加入できる?

定年退職後であっても、一定の条件を満たす再雇用や再就職があれば、厚生年金に再び加入することが可能です。
 
厚生年金は、企業などに勤務するサラリーマンや公務員が加入する公的年金制度で、主に老後の年金受給額を支える重要な柱です。加入資格は年齢だけでなく、「働き方(雇用形態)」や「労働条件(労働時間・賃金など)」にも左右されます。
 
具体的には以下のような条件を満たしていれば、定年退職後でも厚生年金に加入できます。
 

・70歳未満である
・勤務先が厚生年金の適用事業所である
・週の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金が8万8000円以上
・雇用期間が2ヶ月を超える見込みであること
・勤務先の従業員数が51人以上(2024年4月以降、段階的に拡大中)

 
つまり、「年齢が70歳未満で、週に20時間以上働いていれば厚生年金に加入できる」というのは、従業員51人以上の企業など一定規模以上の事業所の場合です。小規模事業所では、正社員の4分の3以上の労働時間など、別の基準が適用されます。再雇用であっても、上記の条件を満たせば再加入が可能です。
 

厚生年金の「任意継続制度」は存在しない

定年退職後、「このまま厚生年金を続けられないの?」と思われる方もいますが、健康保険とは異なり、厚生年金には任意継続制度がありません。
 
健康保険では、退職後も最長2年間は保険料を自分で支払うことで保険に加入し続ける「任意継続被保険者制度」がありますが、厚生年金ではこのような仕組みが存在しないのです。
 
したがって、厚生年金を継続したい場合には、再雇用などで再び加入条件を満たす必要があります。
 

再雇用された場合の厚生年金加入と注意点

定年後、多くの企業では「再雇用制度(継続雇用制度)」が導入されており、同じ職場で働き続ける選択ができます。この場合も、上で紹介した加入条件を満たせば、再び厚生年金に加入できます。ただし、以下の点に注意しましょう。
 

加入条件を満たさないと加入できない

週に2日・1日3時間勤務などの「短時間・低収入」の再雇用契約では、条件を満たさないため厚生年金に加入できない場合があります。このようなケースでは国民年金のみの加入となります。
 

年金受給開始後の「在職老齢年金」に注意

60歳以降、厚生年金の受給資格がある人が再雇用されて働くと、「在職老齢年金」という制度が適用されます。これは、給与と年金の合計額が一定の基準を超えると、年金が一部または全額支給停止になる制度です。
 
例えば、2025年度現在、60歳以上の方では、月収と年金の合計が51万円を超えると、超えた分の一部が年金から差し引かれます。年金の停止を避けるためには、就労収入と年金のバランスを意識した働き方を検討する必要があります。
 

年金受給額に影響はある?

再雇用中に厚生年金に再加入すると、年金の受給額が将来的に増える可能性があります。これは「在職中の保険料納付が、年金額に反映される仕組み」があるからです。
 
65歳以降に働きながら厚生年金に加入すると、「在職定時改定」という仕組みにより、毎年年金額が見直されます。これは、年金を受け取りながら働き続けて納めた保険料が、年金額に上乗せされるという制度です。
 
そのため、「少しでも長く、条件を満たす形で働く」ことで、将来の年金額アップにもつながるというメリットがあります。
 

まとめ

定年退職を迎えても、厚生年金に再加入するチャンスはあります。任意継続はできませんが、再雇用や再就職で条件を満たせば再加入可能であり、将来の年金額の増加にもつながります。
 
再加入の可否や条件は「働き方」次第です。自身のライフプランに合った働き方を選びながら、必要に応じて年金事務所や社会保険労務士に相談し、安心できる老後の準備を進めましょう。
 

出典

日本年金機構 就職・転職・退職
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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