年金の保険料は支払っても「将来元が取れるかわからない」と聞きました。実際、保険料の支払額と受給額の差はどれくらいあるのでしょうか?

配信日: 2025.05.25 更新日: 2025.10.21
この記事は約 3 分で読めます。
年金の保険料は支払っても「将来元が取れるかわからない」と聞きました。実際、保険料の支払額と受給額の差はどれくらいあるのでしょうか?
「年金って、本当に払って意味あるの?」という疑問を持つ方もいるでしょう。将来もらえる金額がはっきり見えない制度だからこそ、不安を感じるのも当然です。特に、「保険料を何十年も払っても、元が取れないらしい」といった話を耳にすると、なおさら不安が大きくなるのではないでしょうか。
 
本記事では、年金制度の基本を押さえながら、保険料と受給額の差について具体的な数字を基に考察します。支払う意味があるのか、どう考えればよいのかを丁寧に解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

年金の基本制度:どのくらい支払って、いつから受け取るのか?

日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満の国民が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社員や公務員が加入する「厚生年金」の二階建て構造になっています。
 
令和7年度の国民年金保険料は月額1万7510円(年間約21万円)。20歳から60歳までの40年間きちんと納めた場合、合計で約840万円を支払うことになります。
 
一方で、65歳から受給した場合、基礎年金支給額(令和7年度時点の満額)は月額6万9308円、1年間で約83万円になります。つまり、10年ちょっと年金を受け取れば、支払った額と同程度になります。
 
厚生年金に加入していた場合、収入や保険料に応じてさらに上乗せされ、1年間の受給額は150万円前後~200万円以上になることもあります。
 

実際にいくらもらえる? 支払額と受給額のシミュレーション

以下は一例ですが、65歳から受給開始した場合の支払額と受給額の差を年齢別に概算したものです(2025年基準)。
 

【国民年金のみ40年加入の場合】

・支払額:約840万円
・年金受給額:年間約83万円
・受給期間が10年強(75歳1ヶ月)で元が取れる
・90歳まで生きた場合:約2000万円受給 → 支払額の約2.5倍

 

【厚生年金加入(年収500万円・40年勤務)】

・支払額:約1830万円(本人負担分のみ)
・年金受給額:年間約200万円
・受給9年強(74歳2ヶ月)で元が取れる
・90歳まで受給:約5000万円 → 約3170万円プラス
※あくまで平均値に基づくシミュレーションです。収入や加入年数により変動します。

 

元が取れないって本当? 損得の考え方を整理しよう

「年金は損」と言われる背景には以下のような誤解や視点の偏りがあります。
 

・寿命が短ければ損だが、長生きすれば得になる
・保険としての機能(障害年金・遺族年金など)を見落としがち
・老後の生活保障というセーフティーネットの役割を見落としがち

 
また、年金は「積立貯金」ではなく、「現役世代が高齢者を支える仕組み(賦課方式)」であるため、投資や預金と同じ感覚で損得を判断することはできません。
 
自分が何歳まで生きるかは予測できないため、「長生きリスク」への備えと考えるのが適切です。
 

まとめ

年金は「払った分より少なくなるかもしれない」という不安を感じる方もいるでしょう。しかし、平均寿命が延びるなか、80歳・90歳まで生きる人が増えている現在では、長く生きれば生きるほど、年金は「元が取れる」制度ともいえます。
 
また、年金は単なる貯金ではなく、もしものときの保険であり、老後の生活を支える基盤です。金額の多寡に目を向けるだけでなく、その仕組みと意義を理解しておくことが、将来の不安を減らす第一歩になります。
 

出典

日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
日本年金機構 厚生年金保険料額表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問