現在、正社員として働いていますが、大学に入って勉強をしたいです。「大学生」になったらその期間は「年金保険料」は免除されますか?

配信日: 2025.05.26

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現在、正社員として働いていますが、大学に入って勉強をしたいです。「大学生」になったらその期間は「年金保険料」は免除されますか?
国民年金には、日本に住んでいる人が20歳になったら必ず加入する必要があります。そして、保険料を納めることが義務付けられます。しかし、学生の方に限っては、保険料納付を猶予される学生納付特例制度があります。
 
本記事では、その制度について解説します。
堀江佳久

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

学生納付制度の概要

学生納付制度とは、学生で、国民年金の保険料の納付が困難な場合に「学生納付特例申請」という申請を行うことで、保険料の納付が猶予される制度です。ただし、納付は「猶予」されるだけであり、免除されるわけではありませんので、注意が必要です。
 

1. 対象者

大学(大学院)、短大、高等学校、高等専門学校、専修学校、各種学校に在籍する学生等で、本人の「前年所得」が基準以下の方です。ここでいう「前年所得」の目安は、「128万円+扶養家族の数×38万円」で計算した額以下となります。なお、家族の方の所得の多寡は問われません。
 
したがって、社会人の方が、大学に入って学生となり、上記基準を満たせば、学生納付制度を活用することができます。ただし、社会人のまま大学に入学しても、学生という要件を満たさないので原則活用することができません。
 

2. 申請方法

(1)申請書の提出
市(区)役所または町村役場の国民年金窓口、もしくは年金事務所、日本年金機構のホームページで申請書を入手し、記入例を参考に必要事項を記入します。記入が終了したら、自身の住民票を登録している市(区)役所または、町村役場の国民年金担当窓口に提出します。なお、申請の際には、学生証など学生であることを証明するものが必要となります。
 
(2)審査結果
申請後に、日本年金機構から承認された場合には「承認通知書」が、却下された場合には「却下通知書」が届きます。承認された場合の承認期間は、4月~翌年3月の1年間となります。却下された場合には、保険料を納付しなければなりません。
 

学生納付制度活用のメリット

学生納付制度を活用することで、次のメリットを享受することができます。

1. 保険料の納付が猶予され、働けるようになってから納付することができます。
2. 猶予期間が、老齢基礎年金を受け取るために必要な「受給資格期間」に算入されます。
ただし、年金額には反映されません。したがって、年金額を増やしたい場合には、保険料をあとから納める(追納をする)必要があります。
3. 病気やけがで障害が残ったときに、障害基礎年金を受け取れます。
ちなみに、令和7年度の障害基礎年金額(年額)※は、以下のようになっています。
 
障害等級1級:103万9625円、障害等級2級:83万1700円
※昭和31年4月2日以後生まれの方が受け取る場合の年金額。なお、この障害等級は身体障害者手帳の等級ではなく、国民年金法で定められている等級となります。

 

まとめ

国民年金には、日本に住んでいる人が20歳になったら必ず加入し、保険料を納めることが義務付けられています。
 
しかし、学生であって、所得条件を満たすことができれば、保険料の納付が猶予され、社会人になってから納付することができる「学生納付制度」があります。
 
この制度を活用することで、猶予期間が老齢年金の受給資格期間に算入されたり、万が一の病気やけがで障害が残った場合には障害基礎年金を受け取れたりするなど、メリットを享受することができますので、学生の方はぜひ活用を検討しましょう。
 
詳しくは、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口、近くの年金事務所もしくは在学中の学校などに確認をしてください。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 学生納付特例制度のポイント 令和7年度版
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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