「年金」だけで老後生活していくことは可能? 「厚生年金」の平均受給額と必要な貯蓄額を解説

配信日: 2025.05.27 更新日: 2025.10.21
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「年金」だけで老後生活していくことは可能? 「厚生年金」の平均受給額と必要な貯蓄額を解説
これから年金を受け取る予定の世代は、財政状況の悪化により実際には受給できないのではないか、といった意見をニュースなどで耳にしたことのある方もいらっしゃるかもしれません。こうしたいわゆる「年金制度の破綻」は誤解であるという専門家の意見もありますが、実際問題、年金だけで老後生活は可能なのでしょうか。
 
本記事では年金の支給状況や、老後の生活に必要な金額について解説していきます。
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夫婦2人分の標準的な年金額は「月額23万2784円」

日本年金機構によると、令和7年度におけるモデル夫婦世帯の2人分の標準的な年金月額は「23万2784円」です。これは老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)を足した金額です。
 
厚生年金は会社員や公務員が加入する年金制度です。加入期間中の収入にもよりますが、厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度末時点における厚生年金保険(第1号)の受給者の平均年金月額は、併給する老齢基礎年金を含めて、「14万7360円」です。
 
国民年金(基礎年金)は、日本に住む20歳以上60歳未満の人は全て加入が義務付けられています。支給額は国民年金保険料の納付期間によって変動し、日本年金機構によると、満額納付であれば令和7年度における支給月額は「6万9308円」です。
 

夫婦高齢者無職世帯の消費支出は「月額25万6521円」

総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の可処分所得は「22万2462円」、消費支出は「25万6521円」です。月に「3万4058円」の不足が発生することになるようです。表1は主な消費支出の内訳です。
 
表1

消費支出内訳 月平均額
食料 7万6352円
住居 1万6432円
光熱・水道 2万1919円
家具・家事用品 1万2265円
被服及び履物 5590円
保健医療 1万8383円
交通・通信 2万7768円
教養娯楽 2万5377円
その他の消費支出(交際費など) 5万2433円

出典:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」を基に筆者作成
 
個々人のライフスタイルによって支出項目が増えたり、支出の割合が変動したりすることが考えられるため、表1の金額はあくまでも目安です。しかし表1の多くは生活に欠かせない出費であるため、大幅に削ることは難しいと考えると、標準的な年金受給額の場合、年金のみで老後生活を送るのはあまり現実的ではないといえるかもしれません。
 

定年後の老後生活には最低でも「480万円~720万円」程度の貯蓄が必要な可能性

前述の通り、老後生活において平均的な家計収支では、月に3万4058円の不足が出るようです。日本人の平均寿命が男性は約81歳、女性は約87歳であることを考慮すると、仮に60歳で定年を迎えた場合、その後20年~30年分の貯蓄が必要と考えられます。
 
具体的な必要貯蓄金額を考えてみましょう。夫婦2人の世帯で年金収入が月に23万円、支出が25万円であると仮定すると、定年後の生活が20年と想定した場合では480万円、30年と想定した場合では720万円必要となる計算です。
 
貯蓄でやりくりする他にも、生活費を賄うために再度働くという選択肢もあります。再雇用制度など、定年後も引き続き働ける制度を導入している企業もあるため、それらを利用することによって定年前の知識や経験を生かして働くことが可能です。
 
また、現在はシニア向けの求人を集めた専門の求人Webサイトも多く存在するため、そこから新しく仕事を探すこともひとつの手でしょう。
 

まとめ

65歳以上・無職の夫婦世帯においては、平均的な家計収支では毎月3万4000円ほどの不足があり、年金のみで老後生活を送るのは少々難しいといえます。
 
しかし定年後の再雇用や再就職などによって生活費を補うことも可能であるため、定年後も働くライフスタイルを選択肢に入れることも検討できるかもしれません。本記事を参考に、老後の準備や過ごし方について一度考えてみましょう。
 

出典

日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II. 厚生年金保険 (2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2024年-(19ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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