厚生年金に加入している会社員ですが、これって将来元はとれるんですか?

配信日: 2025.05.28 更新日: 2025.10.21
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厚生年金に加入している会社員ですが、これって将来元はとれるんですか?
厚生年金に加入している会社員の中には、「毎月支払っている保険料に見合うだけの年金を将来もらえるのだろうか?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。少子高齢化の進行や年金制度の持続性に関する議論が続く中で、将来の年金受給額をどのように考えればよいのでしょうか。
 
この記事では、厚生年金の仕組みや、支払った保険料の「元を取れる」のかどうかを解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

厚生年金とは

厚生年金とは、公的年金制度の一部であり、会社員や公務員が加入する年金制度です。加入者は毎月の給与やボーナスから一定割合の保険料を支払い、これに会社が同額を上乗せして納付します。
 
そして将来は、国民年金から支給される老齢基礎年金に上乗せする形で「老齢厚生年金」として年金を受け取ることができます。
 
詳細は省略しますが、厚生年金の保険料は、原則として給与や賞与に比例しています。そして、おおむね納めてきた保険料に比例して、将来の給付も大きくなります。つまり、収入が高い人ほど、将来厚生年金をより多く受け取れることになります。
 
参考までに、日本年金機構によれば平均的な収入で40年間就業した場合、令和7年度の厚生年金の標準的な月額受給額は約16万円です(満額の老齢基礎年金を含む)。夫婦(一方は国民年金のみ)の場合、合計で月額23万円程度となります。
 

年金で「元を取る」ことについて

厚生年金で元を取る(払った保険料以上に年金を受け取ることと仮定)ためには、一定期間以上年金を受給する必要があります。例えば、ある人が20歳から60歳までの保険料を支払い、65歳から受け取ると仮定します。
 
その場合に支払うこととなる厚生年金保険料は、約1932万円です(令和7年度版の厚生年金保険料額表を基に、賞与込みでの平均月収換算で約44万円の収入と想定)。
 
仮に月額換算15万円の年金額で年金を受け取った場合、11年ほど受け取り続けなければ元を取れません。そのころの受給者の年齢は76歳ごろです。
 
「元を取る」ということを「払った保険料以上に給付を受け取る」と考えると、「元を取る」ことは不可能ではないでしょう。ただし、年金は亡くなってしまうと、そこで支給が打ち切られます。そのため早期に亡くなってしまうと、年金の元を取ることが難しくなるでしょう。
 

元を取ることに執着しないことが大切

年金で元を取ることは不可能ではありませんが、今後少子高齢化が進むと財源が悪化し、年金の支給条件も変わって、元を取ることが難しくなる可能性が考えられます。
 
例えば、年金支給額が下げられる、保険料が増額される、支給開始時期が遅くなるなどの場合が考えられます。
 
一方で、年金制度自体がなくなってしまうことは国が運営母体であることから考えづらく、さらに障害年金や遺族年金などもあるので、万が一のときへの備えの保険と考えると、決して割に合わない制度とも言い切れません。
 
そのため、支払った金額と受け取った金額のみにとらわれるのではなく、「保険」としての側面を考慮することも大切でしょう。
 

まとめ

厚生年金は、保険料を支払った以上の額を受け取れる可能性がある制度ですが、少子高齢化の影響や年金財政の課題を考慮する必要があり、確実ではありません。そのため、正しく年金と向き合うためにも、年金は将来の収入としてだけでなく、万が一のときの保険としての性質があることも再確認するべきでしょう。
 
そうすることで、年金制度への理解が進み、現状より不安が解消されるはずです。将来のためにも悩んでいる今こそ年金制度を正しく理解し、老後の生活に向けた準備を早めに進めましょう。
 

出典

日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和7年度版)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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