「年金は70歳からもらうとお得」と聞きましたが、本当にその方がいいのでしょうか?
本記事では、70歳からの受給が本当にお得なのか、具体的な数値や制度の変更点を交えて解説します。
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年金の受給開始年齢は選べる
公的年金は、原則として65歳から受給が開始されます。しかし、希望に応じて60歳から65歳までの間で繰上げ受給、66歳から75歳までの間で繰下げ受給を選択することが可能です。65歳より早く受給を開始することを「繰上げ受給」、遅くすることを「繰下げ受給」と呼びます。
繰上げ受給では、1962年4月2日以降生まれの方は1ヶ月早めるごとに年金額が0.4%減額されます(それ以前生まれの方は0.5%減額)。繰下げ受給では、1ヶ月遅らせるごとに年金額が0.7%増額されます。この制度により、自身のライフプランや健康状態に合わせて、最適な受給開始時期を選ぶことができます。
70歳からの受給は本当にお得?
70歳からの繰下げ受給を選択すると、65歳からの受給と比べて年金額が42%増額されます。例えば、65歳から年額約80万円(月額約7万円)を受給する場合、70歳からの受給では年額約111万円(月額約9万円)となります。しかし、受給開始を遅らせることで、受給総額が増えるかどうかは寿命によって異なります。
厚生労働省の「令和5年簡易生命表の概況」によると、令和5年時点での平均寿命は、男性81.09歳、女性87.14歳です。65歳から受給した場合と、70歳から受給した場合の損益分岐点は82歳であり、82歳より長生きすれば、70歳からの受給の方が得になります。
日本人の平均寿命は、男性81.09歳、女性87.14歳であり、平均的には70歳からの受給が有利になる場合もありますが、実際の損得は個々の健康状態やライフプランによって異なります。
繰下げ受給のメリットとデメリット
繰下げ受給の最大のメリットは、年金額が増えることです。75歳まで繰り下げると、65歳からの受給と比べて年金額が84%増額されます。しかし、デメリットも存在します。受給開始を遅らせることで、受給前に亡くなった場合、年金を受け取れないリスクがあります。
また、受給開始までの生活資金をご自身で確保する必要があります。そのため、繰下げ受給を選択する際は、健康状態や生活資金の状況を考慮することが重要です。
自分に合った受給開始時期を選ぶために
年金の受給開始時期は、自身の健康状態、生活資金、ライフプランに応じて選択することが重要です。70歳からの受給は、長生きする場合にはお得ですが、受給開始までの生活資金や健康状態を考慮する必要があります。自身にとって最適な受給開始時期を選ぶためには、将来の収支をシミュレーションし、慎重に判断することが求められます。
出典
厚生労働省 「令和5年簡易生命表の概況」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
