60歳以降は働くほど年金受給額が減る?「働きながら満額受給」するためにはどうすればいい?

配信日: 2025.05.29 更新日: 2025.10.21
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60歳以降は働くほど年金受給額が減る?「働きながら満額受給」するためにはどうすればいい?
60歳や65歳で定年退職をしても、しばらく働き続けたいと考える人は少なくないようです。年金受給が可能な年齢かどうかにかかわらず、老後資金を少しでも多く確保しようと考えるのかもしれません。
 
しかし働きながら年金を受給する場合、注意したい点があります。働き方によっては、年金額が調整されて受給額が少なくなることも珍しくありません。満額を受け取りたいのであれば、年金額調整の仕組みについて基本を知っておくことが大切です。
 
本記事では、60歳以降に老齢厚生年金を受け取りながら働こうと思っている方に向けて、在職老齢年金制度の概要を解説します。
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年金額が調整される「在職老齢年金制度」

年金制度には「在職老齢年金」と呼ばれる仕組みがあります。この仕組みの下では、年金と月給などを合計した額が一定額を超える場合、年金額が減額されてしまいます。
 
減額されるのは「老齢厚生年金」であり、老齢基礎年金(国民年金)ではありません。老齢基礎年金は全額受け取れます。
 
年金は基本的に、退職後に収入源が限られている人を対象とした制度です。そのため、現役時代と同じように働き続ける高齢者については、年金額を減額することによって調整が図られています。
 

年金と収入の合算が「51万円超」だと減額される

老齢厚生年金の受給額が減額される基準は、老齢厚生年金と給与収入などの合算額が51万円超えかどうかです。具体的には以下の計算式で求められます。
 
支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-51万円)×2分の1
 
基本月額は老齢厚生年金の年額を12で等分した「1ヶ月あたりの受給額」です。総報酬月額相当額は、月給に直近1年間のボーナスを12で等分した額を足した額です。基本月額と総報酬月額相当額を合算して51万円を引き、その額を半額にします。
 
もし合算した収入額が51万円超になれば、超えた額の半分が支給停止されます。一方、51万円以下であれば満額受け取ることが可能です。
 
なお51万円という基準額は令和7年度におけるもので、年度によって変わります。参考までに令和6年度は50万円でした。
 

在職老齢年金制度の注意点

在職老齢年金制度には以下のような注意点があります。

●70歳以降の人が厚生年金加入条件と同程度で働く場合は支給停止の対象となる
●老齢厚生年金を繰下げ受給しても支給停止該当額は増額の対象外となる

70歳以降の人は厚生年金の被保険者扱いにならず保険料負担は発生しません。しかし働き方によっては年金支給停止の対象になってしまいます。
 
また老齢厚生年金は、繰下げ受給することで年金額が増額されますが、仮に繰り下げたとしても、在職老齢年金によって本来支給停止されるはずだった額については増額されません。つまり支給停止を避けつつ繰下げ受給による増額をうまく図ろうとしても意味がありません。
 

基準額が大幅に調整される可能性がある

令和7年度における支給停止の基準額は51万円ですが、将来的に基準額が大幅改定される可能性があります。
 
厚生労働省年金局によると、基準額の引き上げについて複数の案が検討されています。具体的には以下3つの案が挙がりました。

●在職老齢年金制度を撤廃する
●基準額を71万に引き上げる
●基準額を62万に引き上げる

2025年5月時点では、最終的な決定が下されていません。しかし将来基準額が引き上げもしくは撤廃されるならば、現在よりも手元に残るお金が多くなる可能性が高いです。
 
基準額が緩和されることによって、高齢者の就業意欲が高まることが期待されています。
 

60歳以降は収入額によって年金減額の可能性がある

60歳以降の人が老齢厚生年金を受給しながら働く場合、その収入状況によっては「在職老齢年金制度」によって年金額が減額される可能性があります。
 
令和7年度における基準額は51万円ですが、今後基準額が改定される可能性があります。自分の受給額が現行制度においてどれほど調整が行われるか知りたい場合は、年金事務所などに問い合わせてみるといいでしょう。
 
また、働きながら満額受給するためには、収入を一定額以下に抑えるなどの対策が必要です。
 

出典

厚生労働省年金局 在職老齢年金制度について(9ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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