「もらえる年金が増えるから」と迷わず繰下げ受給を選択した一人暮らしの母…今は働けているけれど、年齢のことを考えたら早めに受け取った方がいいのでは?

配信日: 2025.05.31 更新日: 2025.10.21
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「もらえる年金が増えるから」と迷わず繰下げ受給を選択した一人暮らしの母…今は働けているけれど、年齢のことを考えたら早めに受け取った方がいいのでは?
老後生活において、年金は重要な収入源の一つです。年金の受給額を増やす方法の一つに、繰下げ受給があります。
 
本記事では、繰下げ受給についてメリットやデメリットも含めて解説します。
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年金の繰下げ受給とは

さまざまな種類がある年金のなかでも、多くの方が受給するのは老齢基礎年金と老齢厚生年金でしょう。一般的に老齢基礎年金は国民年金、老齢厚生年金は厚生年金とも呼ばれます。どちらも原則65歳から受給できる年金ですが、申請すれば受給時期を繰り下げることが可能です。なお、繰り下げられるのは基本的に75歳までです。
 
年金の繰下げ受給の特徴は、繰り下げた期間に応じて受給額が増額される点にあります。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金を一緒に繰り下げる必要はなく、別々に実施することも可能です。
 

繰り下げ時の増額率

老齢基礎年金と老齢厚生年金を繰り下げた場合の増額率は、1ヶ月あたり0.7%です。つまり、65歳で受け取れる年金を70歳まで繰り下げた場合は42%、最大の75歳までであれば84%となります。自身の生活状況やライフプランなども含めて、増額率を意識しながら繰り下げる期間を選ぶといいでしょう。
 
なお、繰り下げは1ヶ月単位で行えますが、65歳~66歳までのはじめの1年間は1年単位での繰り下げとなります。
 

年金は繰り上げも可能

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、受給時期を最大で60歳まで繰上げることも可能です。ただし、その場合は受給額が減額します。受給額だけで考えれば、損になるといえるでしょう。また、原則的には老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り上げる必要があるようです。
 
繰り上げは1ヶ月単位で可能であり、その減額率は1ヶ月あたり0.4%です。60歳で受給する場合の最大減額率は、24%となります。なお、1962年4月1日生まれの場合は減額率が0.5%になるため、該当する方は受給額を試算する際に間違えないように注意してください。
 

繰下げ受給のメリット

年金を繰り下げて受給するメリットは、1ヶ月あたりの受給額が増える点にあります。原則65歳で受け取る年金を最大で75歳まで繰り下げられますが、その場合は1ヶ月あたりの年金受給額が84%増額されるのです。
 
仮に1ヶ月あたりの年金受給額が15万円とすると、75歳まで繰り下げた場合の受給額は27万6000円となります。感じ方は人それぞれとはいえ、大きな違いといえるでしょう。
 

繰下げ受給のデメリット

年金の受給額が増えるというメリットがある繰下げ受給ですが、いくつかのデメリットがあります。繰下げ受給を検討する場合は、デメリットも理解しておきましょう。ここからは、繰下げ受給のデメリットを項目ごとに解説します。
 

年金の受給開始時期が遅れる

当たり前ですが、繰下げ受給をすると年金の受給開始時期が遅くなります。それと同時に、「年金に頼らずに生活資金を用意しなければいけない期間」も長くなるのです。仮に65歳から70歳まで繰り下げる場合、その期間が5年増えるわけです。
 
裏を返せば、「定年退職後も働くことで収入が見込める」「貯蓄から生活資金を捻出できる」などの理由で、繰り下げても受給開始までの生活資金に困らない場合は、特にデメリットにならないでしょう。
 

受給額が減ることもある

受給期間によっては、繰下げ受給をしても受給総額が減る可能性があります。
 
例えば、毎月20万円の年金を受け取れる人が75歳まで繰り下げた場合、毎月の受給額は36万8000円となります。この人が78歳で亡くなった場合、年金の受給総額は1324万8000円です。しかし、繰下げをせずに65歳から毎月20万円の年金を受け取っていれば、総額は3120万円になります。
 
人がいつ亡くなるかを予測することは不可能です。年齢を重ねてから年金を受け取る繰下げ受給はデメリットになるかもしれません。
 
なお、繰下げ受給中の受給者が亡くなった場合、遺族は遺族年金を受け取れますが、増額分は対象外となります。「遺族年金を受け取れば損にならない」とはならないことに注意しましょう。
 

受給期間によっては繰下げ受給が損になる

年金を繰下げ受給すれば、繰り下げた期間に応じて受給額が増額されます。
 
しかし、繰り下げ後の受給期間によっては、繰り下げせずに65歳から受給するほうが受給総額は多くなることがあります。年齢が気になる高齢者にとって、受給開始時期の後ろ倒しはデメリットになりかねません。ただし、人が亡くなるタイミングは予想ができないため、状況次第といえます。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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