専業主婦の妻が「少しでも年金を増やしたい」と、毎日8時間のパートを開始! 50歳から「月収20万円」だと、将来の年金額はいくら増える? 上乗せ額をシミュレーション
本記事では、50歳からフルタイムのパート勤務を始め、65歳まで15年間働くことで、年金をどれくらい増やせるのかを試算しました。老後資金にどれくらいプラスになるのかを、詳しく解説します。
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50歳から厚生年金に加入するとどうなる?
専業主婦(配偶者の扶養内)である場合、年金制度上は「第3号被保険者」として扱われます。配偶者が加入している厚生年金が保険料を負担しており、個別に保険料は納めずとも将来の年金受給資格を得られる仕組みです。
ただし、受給できる年金はあくまで基礎年金分に限られ、老後資金としてはやや心もとないと感じる人も多いでしょう。
一方、パート勤務であっても、従業員51人以上の企業に勤務しており、月額8万8000円以上の給与になると、厚生年金に加入する必要が出てきます。月収20万円でフルタイム勤務する場合は、ほぼ確実に厚生年金の対象となります。
厚生年金保険料は労使折半で、本人負担は約9.15%です。月収20万円なら、毎月約1万8300円が自身の保険料負担となります。毎月の手取りは減りますが、将来、年金として返ってくると考えれば、老後の備えとして安心できるのではないでしょうか。
50歳から65歳まで働くと年金はいくら増える?
老齢厚生年金の受給額は、「報酬比例部分」と呼ばれ、加入期間中の給与と加入月数によって算出されます。加入期間が長いほど、また給与が高いほど、将来の受給額が多くなる仕組みです。実際の受給額は、以下の計算式を使って求めることができます。
老齢厚生年金(年額)=平均標準報酬額(※)×5.481÷1000×加入月数
平均標準報酬額(※)とは、加入期間の標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入月数で割った金額のことであり、簡単にいうと、年収を12で割った金額となります。
50歳から65歳までの15年間を、月収20万円で勤務した場合の老齢厚生年金を計算してみましょう。パート勤務で賞与がなかったとすると平均標準報酬額は20万円、15年間だと加入月数は180ヶ月です。これを前述の式にあてはめて計算すると、以下のようになります。
老齢厚生年金(年額)=20万円×5.481÷1000×180 =19万7316円
つまり、年間で約19万7000円、月額だと1万6443円の老齢厚生年金が上乗せされることになります。
50歳からのフルタイム勤務、老後資金にどれほど効果がある?
月額約1万6000円の年金増加は、一見少額に思えるかもしれません。しかし、年金は生涯にわたり支給されるため、85歳まで生きるとすると、20年間で約394万円となります。これは老後資金を預貯金で確保することと同じ意味であり、無視できない金額です。
50歳からフルタイムで働くと、月収20万円から厚生年金保険料や住民税、所得税などを差し引いても、毎月15万円以上の手取り収入が見込めます。
直近の生活費の補填だけでなく、預貯金やNISAなどによる資産形成に充てることもできます。単に年金の上乗せというだけでなく、「現在」と「将来」の安心感を得られる働き方といえます。
一方、家事との両立や65歳まで働き続けることへの体力的な負担も意識する必要があり、無理のない働き方を見極めることも重要です。
まとめ
50歳から65歳まで、本格的に勤務することで、厚生年金の受給額を確実に増やすことができます。
たとえ15年という期間でも、月額1万6000円の年金が追加となり、生涯で見れば数百万円単位の差となります。子育ても一段落した50歳を過ぎた頃からは、「働き方=老後の備え」という視点がより重要になってくるでしょう。
フルタイム勤務にこだわらずとも、自分に合った働き方を見つけ、無理なく収入と年金の両面から老後に備えることが大切です。
出典
日本年金機構 保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
