働きながら「年金」をもらうと支給がカットされる?月いくらまでなら稼いで大丈夫?
本記事では、在職老齢年金制度について解説、年金がカットされてしまう条件や計算式、またカットされずに働くための工夫も合わせてご紹介していきます。
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目次
老齢厚生年金と給与の合計が1ヶ月あたり「51万円」を超えると要注意
月に51万円(令和7年度の支給停止調整額)を超える収入(給与+老齢厚生年金)を得ている場合、老齢厚生年金の一部が減額、もしくは全額が支給停止される可能性があります。
これは「在職老齢年金制度」という仕組みによるもので、厚生年金保険に加入しながら働く場合など、老齢厚生年金を受け取っている人の収入が一定額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる制度です。
では実際にどのような計算でカット額が決まるのか、具体的な算出方法と注意点をみていきましょう。
【計算式】支給停止される年金額はこうして決まる
日本年金機構によれば、2025年度の計算式では、以下が適用されています。
・支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-51万円)÷2
ここで使われている「基本月額」とは、加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額を指します。また「総報酬月額相当額」は「その月の標準報酬月額」と「その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割った額」を合算した金額のことです。
基本給に残業手当や通勤手当などの各種手当を加えたものを「報酬」と呼びます。この報酬月額をもとに、1~32等級に区分された額で算出されるのが「標準報酬月額」となります。一方、標準賞与額とは、3ヶ月を超える期間ごとに支給される賞与のことです。1000円未満の額は切り捨てて計算されます。
ボーナスもカウントされるので要注意
上記でも記載したように、この制度の仕組みでは給与だけでなくボーナスも調整の対象になります。ただし、ボーナスはそのまま全額を加算するのではなく、直近1年間の合計額を12ヶ月で割り、月単位に換算するので、計算をする際には注意しておきましょう。
老齢基礎年金はカットされない
ここまで「年金がカットされる」と説明してきましたが、適用されるのは老齢厚生年金であり、老齢基礎年金に関しては給与などにかかわらず全額支給されます。つまり、どれだけ働いても、老齢基礎年金は減額されることはありません。
年金をカットされずに働くには?
「年金を減らされるのは避けたい。でも働き続けたい」と考える人も多いでしょう。ここでは、年金をカットされずに働くための方法を2つ紹介します。
老齢厚生年金と給与の合計を51万円(支給停止調整額)以内にする
最もシンプルな対策は、月の収入やボーナスの月換算額を、受給している老齢厚生年金額に合わせて調整することでしょう。収入が高すぎると、老齢厚生年金の一部が減額されてしまう可能性があるため、労働時間や仕事量をうまく調整することが大切です。
ボーナスに関しては、評価によって金額が上がる可能性もあるため、調整が必要な場合もあります。
業務委託や個人事業主として働く
実は、業務委託や個人事業主として働いている場合には、基本的に年金の減額対象にはなりません。日本年金機構によれば、在職老齢年金制度が適用されるのは「厚生年金保険に加入しながら働く場合や、厚生年金保険の加入事業所で70歳以降も働く場合」であるためです。
たとえ月収が51万円を超えていても、会社員などの厚生年金保険加入者でなければ、年金をもらいながら働いても老齢厚生年金がカットされることはありません。
「会社員など厚生年金保険に加入しながら働いて、老齢厚生年金と給与の合計が月51万円超のとき」老齢厚生年金が一部カットされる
年金がカットされるのは、会社員など厚生年金保険に加入しながら働いて、老齢厚生年金と給与を合わせた月収が51万円を超える場合です。まずはご自身の収入を、計算式に当てはめて確認してみることをおすすめします。
なお、2025年度の支給停止調整額は51万円ですが、この上限は年度によって変更されることがあるため、毎年の動向にも注意が必要です。
働き方や収入のバランスを工夫することで、年金を維持しながら安定した収入を得ることは十分可能と考えられます。自分の状況をしっかり把握し、将来に向けて損のない選択をしていきましょう。
出典
日本年金機構 年金Q&A(老齢厚生年金全般) 60歳以降も引き続き勤めます。勤めていても年金は受けられますか。
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
