月20万円の「年金」をもらえるのは何%の人?年金の平均受給額も紹介
では、毎月20万円の年金を受け取っている人は実際どの程度の割合を占めているのでしょうか。今回は、年金の平均受給額や老後の生活費との関係を、公的なデータに基づいて詳しく見ていきましょう。
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目次
月20万円以上の年金を受給している人は何%?
老後の主な収入源である公的年金ですが、毎月20万円もの年金を受給できる人は多くありません。
厚生労働省のデータによると、厚生年金保険(第1号)の対象者で年金の受給権を持つ高齢者のうち月額20万円以上受け取れる人の割合は男性24%、女性はわずか1.3%にすぎません。
裏を返せば、男性の約76%と女性のほぼ99%は月20万円未満の水準にとどまっています。
月20万円未満・15万円未満の人が多数派
既出の厚労省のデータから男女それぞれの受給権者のボリュームゾーンは、男性が15万~20万円、女性が8万~13万円辺りであることが読み取れます。
つまり、老後に月20万円台の年金を手にできるのは、現役時代に長年にわたり厚生年金に加入し、かつ高収入を得ていたことで老齢厚生年金が手厚くなった人たちに限られているのが実情なのです。
公的年金の平均受給額はどのくらい?
日本の年金制度には国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)があり、会社員や公務員だった人は国民年金に加えて厚生年金を上乗せでもらえるのはご存知かと思います。
そのため自営業者など国民年金のみの人と、会社員などで厚生年金を受け取る人とでは受給額に大きな差が生じるのです。
令和7年度公表の最新データ
年金受給権者のうち、実際に年金を受け取っている人(年金受給者)の各年金の主な平均月額は次のとおりです。
・国民年金(老齢基礎年金)
平均:5万8308円
・厚生年金(老齢厚生年金)
平均:15万1086円
性別・加入歴で大きな差
ご覧のように、国民年金のみの場合と厚生年金を含む場合では、月あたり9万円以上の差があります。
老齢基礎年金は平均5万8308円にとどまり、厚生年金なしで月20万円を公的年金から得ることはできません。厚生年金に加入していた場合でも、その人の働き方や収入額によって、年金額は大きく異なります。
年金だけで生活できる? 老後の生活費の実態
平均的な年金額で老後の生活費を賄えるのでしょうか。総務省統計局が発表した、2024年の「家計調査報告」によれば、65歳以上の単身無職世帯の平均消費支出は月14万9286円、夫婦二人の無職世帯では月25万6521円に上ります。
これに、非消費支出の税金や社会保険料を含めると、生活費の目安は単身世帯で月約16万円、夫婦世帯では月約29万円になります。
男女平均で見ると厳しい現実
これまでの数値から支出額と受給額を比べると、年金だけでは不足するケースが多いことが分かりました。既にご紹介したように、現状、男性と女性では厚生年金の受給額に大きな差があります。
実際、令和7年4月分以降、夫婦2人分の老齢基礎年金を含んだ厚生年金の標準的な年金額は23万2784円です。この数字からも、非常に厳しい現実をうかがい知ることができるでしょう。
年金以外の収入で補う世帯が多数
厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、高齢者世帯のうち収入源が公的年金のみの世帯は41.7%で、裏を返せば約6割の世帯は年金以外でも収入を得ています。
不足分を補うために預貯金を取り崩したり、退職後に再就職して収入を得ていたりする世帯が多い現実が見えてきます。
自身の年金額を把握して備えを
今回は、年金の平均受給額や老後の生活費との関係を、公的なデータに基づいて紹介しました。
この記事で示したデータを踏まえながら、自分自身の将来の年金見込み額と照らし合わせ「自分は平均より上なのか、それとも下なのか」を客観的に確認しておくことが大切です。
将来受け取れる見込み額を明確に把握したうえで、年金だけでは足りない可能性がある場合には、その不足分をどのように補うか、現役のうちから具体的な計画を立てておきましょう。
出典
内閣府 令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)の結果(全体版)
厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 日本年金機構の主要統計(177)
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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