60歳で夫を亡くし「遺族厚生年金」で生活しています。もうすぐ自分の年金も受給できる65歳を迎えるのですが、やはり「遺族年金」は支給停止になりますか?

配信日: 2025.06.22 更新日: 2025.10.21
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60歳で夫を亡くし「遺族厚生年金」で生活しています。もうすぐ自分の年金も受給できる65歳を迎えるのですが、やはり「遺族年金」は支給停止になりますか?
公的年金の被保険者が亡くなった後、遺族の生活を支える役割を果たす「遺族年金」ですが、自身の年金との関連がいまいち分からず不安、という方もいらっしゃるかもしれません。
 
例えば60歳から「遺族厚生年金」で生活している方が65歳を迎え、自分の年金も受給できるようになった場合、遺族年金は支給停止になるのでしょうか。本記事では「遺族厚生年金」が支給停止になることがないのか、その他の年金との関係についても分かりやすく解説します。
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「遺族厚生年金」と「老齢基礎年金」は併給が可能

公的年金は大きく「基礎年金」と「厚生年金」に分かれた2階建て構造になっており、それぞれに「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」という3種類の支給事由があります。
 
これらは「1人1年金」の原則に基づき、1つの年金としてみなされる「基礎年金+基礎年金と同じ支給事由の厚生年金」の組み合わせ以外は、基本的に併給ができないとされています。そのため、複数種類の年金の支給事由に該当する場合は、いずれか1種類を選択して受給することになります。
 
ただし例外として65歳以降、支給事由が異なる2つ以上の年金を併給できる場合があり、そのうちのひとつが「老齢基礎年金」と「遺族厚生年金」の組み合わせです。今回の事例において、65歳から受給開始するのが「老齢基礎年金」の場合は、「遺族厚生年金」とあわせて受け取ることが可能です。
 

「老齢厚生年金」が受け取れる場合は?

遺族年金のうち「遺族厚生年金」の65歳以降の受給を左右するのは「老齢厚生年金」の金額です。65歳以上で遺族厚生年金・老齢厚生年金の両方を受給する権利がある方は、基本的に自身の「老齢厚生年金」を受給することとなります。
 
「1人1年金」の原則により、一見すると「遺族厚生年金」は停止になってしまうのかと思われるかもしれませんが、老齢厚生年金の支給額を上回る部分の遺族厚生年金は、例外的にあわせて受け取ることが可能となっています。
 
つまり、このケースでは「老齢基礎年金+老齢厚生年金+差額分(老齢厚生年金を上回る部分)の遺族厚生年金」という内訳になる可能性があります。
 
ただし結婚の前後を問わず、会社員や公務員として働いてきた期間が長い場合は、老齢厚生年金のほうが高くなる可能性もあるでしょう。その場合は「老齢基礎年金+老齢厚生年金」という内訳になり、遺族厚生年金は全額停止となります。
 

「中高齢寡婦加算」を受け取っていた場合、65歳以降で自身の老齢基礎年金の受給が開始すると加算はなくなる

日本年金機構によれば、40歳から65歳になるまでの間、以下のいずれかに該当する妻が受給する遺族厚生年金には、「中高齢寡婦加算」という制度が適用されます。


・夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない

・遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)等のため、遺族基礎年金を受給できなくなった

この制度では遺族厚生年金に年額62万3800円が加算されますが、自身の老齢基礎年金がもらえる65歳以降は停止となっています。
 
そのため、もし老齢基礎年金の額が中高齢寡婦加算よりも少ない場合、遺族厚生年金ではなく、こちらの停止のほうが家計に影響を与えるおそれもあるため注意しましょう。
 

まとめ

「1人1年金の原則」における例外の1パターンとして、65歳以降の遺族厚生年金と老齢基礎年金は併給が可能です。
 
また、65歳以降の遺族厚生年金と老齢厚生年金においては、単純に「遺族厚生年金+老齢厚生年金」の合計金額になるわけではなく、どちらの金額が大きいかによって支給の内訳が変わるほか、「中高齢寡婦加算」を受けていた場合については、65歳以降自身の老齢基礎年金の受給が開始する際に加算はなくなります。
 
ご自身の受け取れる年金額については「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などを確認し、必要に応じてねんきんダイヤルや、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しましょう。
 

出典

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 年金用語集 た行 中高齢寡婦加算
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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