日本の平均年収は460万円! 現役時代「平均年収」だった会社員が将来受け取る年金額は?
本記事では、年収460万円の会社員が将来受け取る年金額について、具体的な試算を交えて解説します。
行政書士
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大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年収460万円の会社員が受け取る年金額
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均年収は460万円です。では、年収460万円で将来受け取ることができる年金はどれくらいになるのでしょうか。
多くの方にとって年収は毎年一定ではありませんが、仮に1980年4月1日生まれの方で、20歳から60歳までの40年間、厚生年金に加入して年収460万円で就業したと考えると、将来的に受け取る年金の見込み額は年間179万円です。月額に換算するとおよそ15万円となり、多くの人が想像するよりも少ない金額となっているかもしれません。
年収460万円というと、月収換算でおよそ38万円です。手取りで30万円程度あることを考えると、現役時代との収入差に驚いてしまう方もまた少なくないはずです。
老後に必要な生活費と年金のギャップ
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における平均支出は、消費支出と非消費支出をあわせて月額約29万円です。単身世帯に絞ってみても、約16万円と想定される年金額面よりも小さくなっています。
このギャップを埋めるためには、現役時代からの貯蓄や退職金、あるいは年金以外の収入源が必要となります。
例えば、夫婦で合計21万円の年金を毎月受け取ることができるとすると、老後に想定される収入と支出との差額は約8万円です。
その差を埋めるために、老後が30年続くと想定して、不足する2880万円を毎月コツコツ現役時代から貯蓄したり、あるいは、老後も引き続き働くなどして夫婦で4万円ずつ稼いだりといった工夫が必要になるでしょう。
年金額を増やすことも有効
老後に働くことや、現役時代から貯蓄することはなかなか大変と感じる方も多いことでしょう。そういった場合、考え方を変えて年金額を増やす方向にシフトしてもよいかもしれません。
例えば、年金額を増やす方法としては、以下のような対策が考えられます。
(1)長期間働く:厚生年金の加入期間が長いほど、受給額が増加します。参考までに、前述の年金額のシミュレーションで、働く期間(厚生年金の加入期間)を64歳まで伸ばすと、年金額は年間197万円となり、60歳まで働いた場合と比べて18万円も増加します。
(2)繰下げ受給:年金の受給開始時期を遅らせることで、受給額が増加します。1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増えるため、年間179万円の年金額だった場合、仮に5年繰り下げて70歳から受給を開始したとすると、年間で受け取る年金額は254万円ほどまで増加します。
(3)私的年金の活用:iDeCoや企業型確定拠出年金などを活用することでも、老後の資金を増やすことができます。特にiDeCoは、掛け金の所得控除による節税効果も大きいため、おすすめできます。
まとめ
日本の平均年収460万円で40年間働いた場合(厚生年金加入)、老後に受け取る年金額は月額約15万円と試算されます。現役時代の収入と比べてもかなり少ない額であるうえ、一般的な老後の生活費を賄うには大きく不足する可能性があるため、現役時代からの貯蓄や年金額を増やすための対策が重要です。
老後について少しでも不安に感じるのであれば、早めに将来の生活設計を考え、必要な準備を進めていきましょう。
出典
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2024年-(19ページ)
執筆者 : 柘植輝
行政書士
