実家へ帰省したら、「年金だけでは生活が厳しい」と両親に相談されました。両親は「共働き」でしたが、「年金」ってそんなにもらえないものですか?

配信日: 2025.06.25 更新日: 2025.10.21
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実家へ帰省したら、「年金だけでは生活が厳しい」と両親に相談されました。両親は「共働き」でしたが、「年金」ってそんなにもらえないものですか?
年金は老後生活を送る人にとって、大事な収入源の1つです。生活費の多くを年金に頼っている人も少なくないでしょう。
 
そこで本記事では、年金の平均受給額と老後世帯における平均支出額について解説します。
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年金の平均受給額

年金は大きく分けて、国が運営する「公的年金」と、銀行や証券会社、保険会社などが運営する「私的年金」の2種類があります。公的年金のうち、国民年金や厚生年金は、条件を満たしていれば必ず加入しなければならない年金制度です。
 
一方、私的年金は、企業や個人が任意で加入できる年金制度であり、代表的なものに、企業年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)などがあります。
 
ここからは、多くの人が受給する国民年金と厚生年金について、平均受給額も交えながら解説します。
 

国民年金

国民年金は老齢基礎年金とも呼ばれ、加入対象者は20歳以上60歳未満の日本在住者です。保険料を支払っていた期間と、保険料の支払いを免除されていた期間の合計が10年以上であれば、原則65歳から国民年金を受給できます。
 
ただし、国民年金は、受給時期を最大75歳まで繰り下げることが可能です。その場合、繰り下げた期間に応じて受給額が増額されます。反対に、受給時期を60歳まで繰り上げることも可能です。その場合は、繰り上げた期間に応じて受給額が減額されます。
 
生活費の捻出などに支障がなければ、繰り下げることで受給額が増えるため、長生きするほど有利になる可能性があります。ただし、受給開始が遅れる分、受け取れる総額は寿命によって左右されるため、自身の健康状態やライフプランを踏まえた判断が必要です。
 
国民年金の受給額は、その年の支給額の満額と保険料を支払っていた期間を基に算出されるものです。国民年金の支給額の満額は、全国消費者物価指数などを参考に毎年度改定されます。なお、保険料の納付期間が40年以上であれば、国民年金を満額で受給できます。
 
令和7年度の場合、国民年金の満額は月6万9308円です。6万8000円だった令和6年度から、1308円の増額となりました。
 
ちなみに、厚生労働省によると、令和5年度における国民年金の平均受給額は月5万7700円でした。この年の支給額の満額は6万6250円だったので、8550円の差があります。
 

厚生年金

厚生年金は老齢厚生年金とも呼ばれ、加入対象者は会社員や公務員などです。自営業者や専業主婦(夫)などは加入対象者から外れるため、厚生年金を受給することはできません。受給条件は、厚生年金に加入していたことがあり、国民年金の受給条件を満たしていることです。
 
厚生年金の受給開始時期は、原則65歳からです。また、国民年金と同様に、受給開始時期の繰り下げや繰り上げができます。繰り下げた場合は受給額が増額され、繰り上げると減額される点も国民年金と同様です。
 
厚生年金の受給額は、保険料を支払っていた期間と、加入期間の収入額を基に算出されるため、加入期間が長く、その間の収入が多いほど受給額は多くなります。収入は人によって異なるため、厚生年金の受給額も人によって異なるというわけです。
 
厚生労働省によると、令和5年度における厚生年金の平均受給額は月14万7360円です。なお、この受給額には国民年金も含まれます。
 

老後世帯の平均支出額

総務省の家計調査報告を参考に、65歳以上の夫婦のみの無職世帯と単身無職世帯における平均支出額を表1にまとめました。なお、表1の非消費支出とは、直接税と社会保険料を合わせたものです。
 
表1

65歳以上の夫婦のみの無職世帯 65歳以上の単身無職世帯
消費支出(月平均額) 25万959円 14万5430円
非消費支出(月平均額) 3万1538円 1万2243円
合計額 28万2497円 15万7673円

※総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」より筆者作成
 
先ほど見たように、国民年金を含めた厚生年金の平均受給額(令和5年度)は月14万7360円です。単身の老後世帯における平均支出額を基にした家計収支では、1万313円の赤字になります。
 
一方、夫婦2人の老後世帯における平均支出額は28万2497円です。夫婦2人が平均額の国民年金と厚生年金を受給できる場合、年金による世帯収入は29万4720円になるため、家計収支上は1万2223円の黒字となります。
 

平均額を基にした収支計算ではそれほど余裕はない

国民年金を含めた厚生年金の平均受給額と老後世帯の平均支出額を基にした収支計算では、単身世帯では1万313円の赤字、夫婦2人世帯では1万2223円の黒字です。単身世帯については言及するまでもありませんが、夫婦2人世帯においても、それほど余裕がある収支状況とはいえません。
 
ただし、これらはあくまで平均額を基にした収支計算です。実際の年金受給額や支出額は異なるため、年金収入だけで余裕のある老後生活を送れている人もいます。将来に備えて今から少しずつ家計を見直したり、無理のない範囲で資産形成を進めたりすることで、より安心できる老後を迎えることも可能でしょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 プレスリリース 令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から1.9%の引上げです~(2025年1月24日)
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
総務省 家計調査報告〔家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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