父が年金を「月20万円」も受け取っています。わが家は“一般家庭”でしたが、自分も将来は同じだけ年金を受け取れるでしょうか?「年収・年金額」をシミュレーション

配信日: 2025.06.27 更新日: 2025.10.21
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父が年金を「月20万円」も受け取っています。わが家は“一般家庭”でしたが、自分も将来は同じだけ年金を受け取れるでしょうか?「年収・年金額」をシミュレーション
父親が毎月20万円も年金をもらっているとしたら、「わが家は一般家庭だったはずなのに……自分も同じくらいもらえるのかな?」と気になる人もいるのではないでしょうか。
 
公的年金の受給額は、加入期間や年収で異なります。本記事では、老齢厚生年金や老齢基礎年金の年金額をシミュレーションしながら、「年金月20万円受給に必要な年収」や「年収が足りない場合に不足する年金を補う方法」を説明します。
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年収400万円の人が将来受け取れる年金額は?

厚生年金の受給額は、保険料と納付月数と収入によって決まります。高年収の人ほど受給金額も高くなるのが一般的です。
 
ここでは、一般家庭の例として平均年収400万円の人を想定し、22歳から64歳まで会社員として働いたとの前提で年金受給額をシミュレーションしてみましょう。
 

老齢厚生年金の例

老齢厚生年金は、厚生年金保険の適用を受ける事業所に勤務する70歳未満の会社員または公務員が加入する公的年金です。雇用している会社等と労働者が年金保険料を折半しており、原則として労働者が65歳になったときから受給できます。老齢基礎年金の受給要件を満たす場合に上乗せしてもらえる年金です。
 
老齢厚生年金の受給金額は、「報酬比例部分+経過的加算+加給年金額」で計算できます(今回は事例をシンプルにするため経過的加算と加給年金額を省略します)。
 
報酬比例部分は、平成15年3月以前と4月以後で計算式が異なりますが、今回は労働者の年齢を現在22歳と仮定し、平成15年4月以降の計算式「平均標準報酬額×5.481÷1000×平成15年4月以後の加入月数」を適用します。
 
生涯の平均年収を400万円(平均標準報酬額33万3000円、ボーナスはなし、配偶者や扶養家族はなし)とすると、老齢厚生年金の受給金額は以下のとおりです。
 
「33万3000円×5.481÷1000×504月=約92万円
 

老齢基礎年金の例

老齢基礎年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人が加入する「国民年金」の受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した期間)が10年以上ある人が、65歳から受給できる年金です。
 
老齢基礎年金の受給金額(令和7年4月分から。免除等を考慮しない場合)は、「83万1700円×保険料納付済み月数÷480月」で計算できます。現役時代の40年間の受給資格期間で受給金額が決まり、40年間欠かさず保険料を納めた場合、年間83万1700円(令和7年度)を受け取ることが可能です。
 
20歳から22歳までは「学生納付特例」を使い、その後追納しなかったと仮定すると、老齢基礎年金の受給額は以下のとおりです。
 
83万1700円×456月÷480月=約79万円
 
これらの計算から、年間に受け取れる老齢厚生年金と老齢基礎年金の合計額は約171万円、毎月の受給額は14万2500円となります。
 

月20万円の年金を受け取るには逆算していくらの年収が必要?

「平均年収400万円の人がもらえる年金が毎月14万2500円」であるならば、毎月20万円もらっている父親の収入は、実はかなり高かったのかもしれません。月20万円の年金を受け取るために必要な平均年収を計算してみます。
 
結論として、加入年金や経過的加算、繰下げ受給などを考慮しない場合、月20万円の年金を受け取るには「生涯の平均年収が約700万円必要」と試算できます。
 
生涯の平均年収が700万円(標準報酬月額を58万3000円と仮定)とすると、将来受給できる老齢厚生年金額は「58万3000円×5.481÷1000×504月=約161万円」です。
 
老齢基礎年金の金額は変わらず約79万円のため、合計受給額は240万円、月々の受給額は20万円となります。
 
ただ、国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は460万円であり、生涯の平均年収700万円の達成は容易ではありません。
 
父親の現役当時と現在とでは年金の計算式が異なるものの、年金月20万円以上もらえる人は約6人に1人しかいないことを考えると、父親の収入がかなり高かった可能性があります。当時は、学費や住宅ローン、老後資金などのために堅実な暮らしをしていて、そのため子どもの目には「わが家は一般家庭」と映ったのかもしれません。
 

平均的な年収でも繰下げ受給を活用すれば「年金月20万円」は可能

では、平均的な年収であっても、父親と同じように「年金月20万円」を受給することはできるのでしょうか?
 
結論として、「繰下げ受給」を活用すると、生涯の平均年収500万円という「一般家庭レベルの収入」でも月20万円の年金を受け取ることが可能です。
 
生涯の平均年収が500万円(標準報酬月額を41万6000円と仮定)とすると、将来受給できる老齢厚生年金額は「41万6000円×5.481÷1000×504ヶ月=約115万円」です。
 
老齢基礎年金約79万円との合計受給額は194万円、月々の受給額は16万2000円となります。
 
そして、年金の受給開始時期を65歳から68歳まで3年繰り下げると25.2%の増額になるため、「16万2000円×1.252=約20万2000円」となります。
 

まとめ

将来の年金をいくら受け取れるかは、年金制度への加入期間や標準報酬月額、さらに受給開始時期によって変わります。将来の受取額を試算して「ちょっと足りないな……」と感じた場合は、繰下げ受給などの対策を早めに検討しましょう。
 

出典

国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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