配偶者が亡くなった場合「遺族年金が出る」と聞きました。いくらもらえて、いつまで続くのでしょうか?
しかし、「いくらもらえるのか」「誰が対象になるのか」「いつまで支給されるのか」など、仕組みは意外に複雑でしょう。そこで本記事では、厚生労働省の公的資料をもとに、遺族年金の基本的な内容を紹介します。
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遺族年金には2種類ある
公的年金制度には「国民年金」と「厚生年金」があり、それぞれ対応する遺族年金が用意されています。具体的には、国民年金に加入していた方が亡くなった場合は「遺族基礎年金」が支給されます。
厚生年金の場合は、「遺族厚生年金」が対象です。厚生年金に加入していた方が亡くなった場合、条件を満たせば「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の両方が支給されることもあります。
遺族基礎年金は、原則として子どもがいる配偶者か、または子ども本人が受け取れます。一方で、遺族厚生年金は、配偶者や子、父母、孫、祖父母など、条件を満たす家族が対象です。
つまり、同じ「遺族年金」の言葉でも、加入していた年金の種類によって内容がまったく異なります。自分がどちらに該当するのか事前に確認することが重要です。
遺族基礎年金はいくらもらえるのか
遺族基礎年金の金額は、定額の基本額と、子どもの人数に応じた加算部分で構成されています。令和7年度の基本額は年額83万1700円です。ここに、18歳まで(障害のある子は20歳未満)の子どもがいる場合は、子どもの人数に応じた加算額が上乗せされます。
例えば、子どもが1人いる場合は23万9300円が加算され、合計で年額107万1000円です。2人いれば47万8600円の加算となり、総額は131万300円です。さらに、3人目以降については、1人につき7万9800円が加算されます。つまり、子どもが3人いれば139万100円、4人なら146万9900円です。
支給対象となるのは、18歳の年度末までの子どもを養育している配偶者、または子ども本人です。そのため、子どもの有無によって支給額が決まる点には注意が必要です。
遺族年金はいつまで受け取れるのか
遺族年金がいつまで支給されるかは、年金の種類や受け取る人の年齢、家族の状況によって異なります。遺族基礎年金を受け取れるのは、原則として子どもが18歳になる年度の3月末までです。例えば、高校3年生でその年の3月に卒業する場合が該当します。
一方、遺族厚生年金は受給対象者や年齢、子どもの有無などによって支給期間や金額が異なります。例えば、妻が30歳未満で子どもがいない場合には、受給期間は原則5年間です。
一方で、40歳以上65歳未満の妻で、子どもと生計を共にしていない場合は、「中高齢寡婦加算」が適用されます。これは年額62万3800円で、65歳になるまで遺族厚生年金に加算される仕組みです。なお、この加算は、亡くなった夫が厚生年金保険に20年以上加入していた場合であることが条件です。
さらに、2028年4月から法改正により、遺族厚生年金の支給期間が段階的に見直されます。40歳未満の妻は原則5年間の有期給付となり、将来的に60歳未満まで対象が拡大される予定です。
年収に応じた支給額の調整、有期給付加算の導入、中高齢寡婦加算の廃止などもあり、これまで長期にわたり支給されていた年金が減る可能性があります。収入状況によっては支給が打ち切られることもあるため、将来の生活設計や備えがより重要です。
手続きのタイミングと注意点
遺族年金は、申請しなければ支給されません。亡くなった日から5年以内に、年金事務所での手続きが必要です。必要書類には、死亡診断書の写し、戸籍謄本、住民票、年金手帳などが含まれます。
提出が遅れると支給が遅れたり、受給権が時効で消滅したりする可能性もあるため、早めの準備が重要です。不明点がある場合は、最寄りの年金事務所に相談するのが安心です。
いざという時のために、早めの確認で不安を減らそう
遺族年金は、残された家族の暮らしを支える大切な制度ですが、「何となく知っている」だけでは不十分で、受給には明確な条件と手続きが求められます。
特に、子どもがいるかどうか、受給者の年齢や性別、死亡者の年金加入歴などによって受け取れる金額や期間が変わる点に注意が必要です。また、申請の遅れが支給に影響することもあります。
不安な時期に手続きするのは大変ですが、制度を知って準備しておけば、将来への備えになり、不安も抑えられます。少しずつでも構いません。必要な情報に触れておくことが、安心につながります。
出典
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
厚生労働省 遺族厚生年金の見直しについて
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
