年金制度改正法が成立!「公平性に配慮した」という噂は本当?これからの働き方に影響はあるの?
この記事では、主な改正ポイントと、私たちの働き方や将来設計にどのような影響があるのかを見ていきましょう。
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目次
「106万円の壁」撤廃で約200万人のパート・アルバイトが厚生年金加入へ
今回の改正で最も注目されているのが、いわゆる「106万円の壁」の撤廃です。これまで、パートやアルバイトで働く人が厚生年金に加入するには、下記の条件を満たす必要がありました。
・勤務先の従業員数が51人以上
・週の所定労働時間が20時間以上
・賃金が月額8万8000円(年収106万円)以上
このうち「賃金が月額8万8000円以上」という条件が撤廃されることで、今後は年収を気にせず安心して働けるようになります。この改正により、育児や介護でフルタイム勤務が難しい女性や、兼業で働く高齢者なども、年金の受給額が増える可能性が高まり、長期的には老後の生活保障の強化が期待されます。
在職老齢年金の支給停止基準が50万円から62万円へ大幅引き上げ
現行制度では、厚生年金を受給しながら働く高齢者が一定以上の収入を得ている場合、年金の一部または全部が支給停止される「在職老齢年金制度」が適用されています。これまでは、賃金と年金を合わせた月額が50万円を超えると、その超過分の一部が支給停止されていました。
今回の改正では、この支給停止基準が62万円に引き上げられます。施行は2026年4月からで、約20万人の高齢者が新たに年金を満額受け取れるようになる見込みです。
たとえば、月収40万円の高齢者が働きながら年金20万円を受給していた場合、現行では合計60万円となり一部支給停止の対象でしたが、改正後は支給停止の対象外となり、年金を全額受け取ることができます。これにより、高齢者の働く意欲を後押しし、社会全体の労働力確保にもつながることが期待されています。
遺族年金の男女格差解消と子どもへの支援強化
遺族年金制度も大きく見直されます。これまでは、遺族厚生年金の受給要件に男女差があり、たとえば「子のない夫」は55歳未満だと受給できませんでした。今回の改正で、18歳未満の子どもがいない60歳未満の配偶者は、男女を問わず原則5年間の有期給付が新設されました。
さらに、遺族基礎年金についても、子どもが不利にならないよう制度が改善されます。例えば、夫の死亡後に妻が収入要件を超えている場合や、養子縁組などで親族に引き取られた場合でも、子どもが年金を受け取れる仕組みが整備されます。
これにより、親の事情で子どもの生活が左右されにくくなり、社会的なセーフティネットの役割が一段と広がるでしょう。
まとめ
今回の年金制度改正法では、公平性に配慮した年金保障が実現しました。ただ、制度の複雑さや改正内容の周知不足など、依然として課題は残っています。
今回の改正は、多様な働き方や家族構成を尊重し、誰もが安心して長く働き続けられる社会を目指す大きな一歩です。働く人も企業も、制度改正の内容をしっかり理解し、将来の安心につなげていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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