月収23万円の新卒です。友人と老後の話になり不安を感じているのですが「年金」を「月30万円」もらうために必要な「年収」はいくらくらいですか?
配信日: 2025.07.05

今回は、月収23万円だったときの年金額の目安と、年金が月30万円となる年収の目安についてご紹介します。

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月収23万円だと年金の目安はいくらくらい?
厚生年金に加入していると、将来の年金額は厚生年金への加入期間や加入中の収入などによって変動します。そこで、今回は以下の条件で将来受給できる年金額を計算しましょう。
●月収23万円で定年まで一定
●ボーナスは考慮しない
●報酬比例部分と老齢厚生年金額は同額
●厚生年金には平成15年4月以降に加入
●加入期間は22~65歳
●老齢基礎年金額は令和7年度のものを使用
●国民年金は全期間納付済み
まず、老齢厚生年金額は基本的に報酬比例部分を計算すると目安額が求められます。日本年金機構によると、平成15年4月以降に加入したときの報酬比例部分は「平均標準報酬額×0.005481×厚生年金の加入月数」です。
今回のケースだと、報酬比例部分の計算式は「23万円×0.005481×516ヶ月(43年)」となり、老齢厚生年金の目安は約65万485円になります。
令和7年度の老齢基礎年金は月6万9308円、年83万1696円なので、今回のケースでの年金額の目安は合計148万2181円、月約12万3515円です。
ただし、実際に受給できる金額は収入の変動で変わるので、あくまでも参考としてください。
年金が月30万円になる年収の目安はいくらくらい?
受け取りたい年金額が決まっているときは、年金額からおおよその年収の目安を算出できます。
先ほどの報酬比例部分の計算で使用した「平均標準報酬額」は、「標準報酬月額」と「標準賞与額」の合計の平均値です。標準報酬月額は、毎月の税引き前の決まった手当も含めた給与の金額を、一定金額ごとに区切った報酬月額に当てはめた金額です。
また、標準賞与額は1ヶ月の上限を150万円、年間適用は3回までとして、税引き前の賞与額から1000円未満を切り捨てた金額を指します。
厚生年金加入期間中の収入と賞与を基に金額が決まるため、平均標準報酬額は年収を月で割った金額の目安になるでしょう。なお、報酬比例部分の式を基にすると、計算式は「老齢厚生年金額÷(0.005481×厚生年金の加入月数)」となります。
もし、先ほどと同条件で年金を月30万円もらう場合、老齢厚生年金で必要な金額は月23万692円です。
条件を基にすると、年金が月30万円となるおおよその年収目安は1174万5876円です。ただし、この目安は22歳から65歳まで同じ収入を得ていた場合の目安なので、収入の変動を考慮すると必要な年収はさらに高くなる可能性があります。
厚生労働省労働局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金を月30万円以上受け取っている人は1605万4729人中1万4292人となっており、全体0.1%にも満たないようです。
実際の受給割合で考えると、収入だけで月30万円以上の年金に達する人は少ないといえるでしょう。繰下げ受給などほかの方法で受給額を増やす必要があります。
もし収入が一定なら年収約1174万5876円以上あると受け取れる可能性がある
月収23万円の場合、将来受け取れる年金額の目安は月約12万3515円です。一方、もし月30万円の年金を受け取りたいのであれば、年収の目安は1174万5876円、月換算で97万8823円が必要になります。
なお、この金額は一定の収入だった場合を想定しているので、月収23万円から徐々に収入が上がっていくと考えると、必要な年収はさらに高くなるでしょう。実際に月30万円を受け取っている人は0.1%に満たないことから、難しいと考えられます。
月30万円以上の年金を受け取りたいときは、繰下げ受給など収入以外で受給額を上げられる方法を検討するとよいでしょう。
出典
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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