今まで届いたねんきん定期便を捨ててしまっていました! 再発行できる?ないとどうなるの?
本記事では、ねんきん定期便が届いたらどうすればよいのかを解説します。
一級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/
ねんきん定期便、そもそも何のためにあるの?
日本では国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が国民年金に加入することが義務になっています。年金保険料(以降「保険料」)を40年間払うと満額(令和7年:年額83万1700円、毎年更新)の国民年金を、原則65歳から受給することができます。年金をもらうためには、保険料を10年以上納めることが要件です。
そこで、自分が年金保険料をこれまでどれだけ払ってきているか、自分の払ってきた期間と年金記録に不一致がないか、など確認できるように、毎年誕生月に「ねんきん定期便」が送られてくるのです。ねんきん定期便を紛失しても、年金記録自体がなくなるわけではないので、安心してください。
「ねんきん定期便」は、年齢によって形式や記載内容が図表1のように異なります。通常ははがきが、特定年齢時には封書が送られます。50歳以上の人は定期便を受け取ったときと同様のペースで保険料を納めた場合に、65歳から受け取れるおおよその年金額が記載されています。
図表1

捨ててしまっても再発行できる! 手続きは?
ねんきん定期便は、再発行可能です。「ねんきん定期便・ねんきんネット専用番号(※1)」へ電話をすると、最新の情報をもとに再度ねんきん定期便を送ってもらえます。ただし、届くまでに2~3ヶ月かかるので、ねんきんネットに登録をして電子版の「ねんきん定期便」を確認する方法もあります。
ねんきんネットとは、年金記録の確認、年金見込額の試算、通知書の閲覧等や年金に関する各種手続きがオンラインで行えるサービスです。スマートフォンやパソコンから24時間利用できるので一度登録しておくとよいでしょう。
ねんきんネットの登録には、マイナポータルから行う(マイナンバーカードとメールアドレスが必要)か、またはユーザIDを取得する(基礎年金番号とメールアドレスが必要)方法があります(※2)。
ねんきん定期便の使い方
では、実際にねんきん定期便をどのように活用すればよいのでしょうか。まず、自分が保険料を支払った期間に誤りがないかを確認します。もし年金加入記録にもれや誤りがある場合は、「年金加入記録回答表(※3)」に記入して、近くの年金事務所へ連絡しましょう。
もれや誤りがない人は、以下を確認しましょう。
・50歳未満の人
これまでの加入実績に応じた年金額
・50歳以上の人
老齢年金の種類(基礎年金・厚生年金)と見込額
50歳未満の人は、保険料を納めた期間が短い場合は、定期便に反映されている年金額は少ないかもしれません。そもそも最低10年間保険料を納めないと年金はもらえないので、受給権をすでに得ているか、得ていなければあとどのくらいの期間、保険料を納めるのかを確認しましょう。もし65歳からもらえる年金額を試算したい場合は、ねんきんネットで試算できます。
50歳以上の人は、65歳から受給できる年金額を確認して老後資金がいくら必要かを試算してみましょう。老後を65~90歳までの25年と仮定すると、おおまかな試算方法は以下のとおりです。夫婦の場合は、年金額や支出額を世帯で計算してもよいでしょう。
(1)年金額 65歳以降の1年分の支出額(生活費・住宅費など):マイナスになる場合は(2)へ進む
(2)(1)×25年(65~90歳)=65歳時点で必要な老後資金(貯蓄額)
また、ねんきん定期便に書かれている年金見込額は、60歳までそれまでと同様に働くことを前提に試算されているため、60歳前に早期退職をする人などは年金見込額が変動する可能性があります。その際は、ねんきんネットで試算しましょう。
まとめ
ねんきん定期便は、公的年金(国民年金・厚生年金)を受給するための重要な記録です。年金は終身でもらえるのが最大のメリットで、長生きリスクに備える貴重な手段です。
また、万一病気やけがなどで生活や仕事などが制限される場合に受給できる障害年金にも、年金保険料を納めていれば備えることができます。年金記録にもれや誤りがないか、その都度確認して障害や老齢に準備しておくと安心です。
出典
(※1)日本年金機構 ねんきん定期便・ねんきんネット専用番号(「ねんきん定期便」「ねんきんネット」に関するお問い合わせ)
(※2)日本年金機構 「ねんきんネット」の登録方法
(※3)日本年金機構 年金加入記録回答票
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
執筆者 : 岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士

