「国民年金」と「厚生年金」には受給額に「差」があると聞きました。「国民年金だけ」で老後の生活費を賄うのは難しいですか?

配信日: 2025.07.06

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「国民年金」と「厚生年金」には受給額に「差」があると聞きました。「国民年金だけ」で老後の生活費を賄うのは難しいですか?
誰もがいつかは迎える老後生活について、不安を感じている人は少なくないでしょう。さまざまな不安のなかでも、収入や生活費などの金銭面が悩みの種だという人も多いはずです。
 
老後世帯において、多くの人の収入源は年金です。できれば年金収入だけで、生活費を賄いたいと考える人も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、国民年金と厚生年金の平均受給額や老後世帯における平均支出額などを解説します。
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国民年金と厚生年金の平均受給額

年金は、大きく分けて「公的年金」と「私的年金」の2種類があります。
 
公的年金とは国が運営している年金制度であり、国民年金や厚生年金もそのひとつです。国民年金と厚生年金は、条件を満たしている対象者に加入が義務付けられています。
 
一方、私的年金とは保険会社や証券会社、銀行などが運営する保険制度です。企業や個人が任意で加入できるため、公的年金に上乗せして受け取れることが私的年金の魅力です。企業年金や個人年金保険のほか、iDeCoなどが私的年金に当てはまります。
 
ここからは、国民年金と厚生年金について平均受給額も含めて解説します。
 

国民年金

国民年金は老齢基礎年金とも呼ばれるもので、日本に居住している20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象者です。保険料納付済期間と呼ばれる、保険料を納付した期間と納付を免除された期間の合計が10年以上であれば、原則65歳から年金を受け取れます。
 
国民年金には支給額の満額が設定されており、その満額と保険料を納付した期間を基に受給額が算出されます。なお、国民年金の満額を受給するために必要な納付期間は480ヶ月、つまり40年です。
 
また、支給額の満額はその年の経済状況などを鑑みて毎年度変更されます。令和7年度の支給額の満額は月額6万9308円で、令和6年度の6万8000円から1308円上昇しました。
 
厚生労働省によれば、令和5年度における国民年金の平均受給額は5万7700円です。なお、令和5年度の支給額の満額は6万6250円であるため、8550円の差があります。
 

厚生年金

厚生年金は老齢厚生年金とも呼ばれ、厚生年金保険の加入が義務付けられている会社で働く会社員や公務員などが加入対象者になります。
 
厚生年金に加入していた時期があり、国民年金の受給条件を満たしている場合は原則65歳から年金を受け取れます。ただし、自営業者や専業主婦(夫)などは加入対象者にならず、厚生年金の支給もありません。
 
厚生年金の支給額は加入期間の月数と、加入期間の収入を基に算出されるため、収入が多いほど、受け取れる年金額は増えます。収入には個人差があるため、厚生年金の受給額にも差が生じるということです。
 
厚生労働省によれば、厚生年金の平均受給額は14万7360円でした。なお、これには国民年金も含まれています。
 

老後世帯の平均支出額

総務省の家計調査を参考に、65歳以上の単身無職世帯と夫婦のみの無職世帯における平均支出額を表1にまとめました。表1における非消費支出とは、直接税と社会保険料を合わせたものです。
 
表1

65歳以上の単身無職世帯 65歳以上の夫婦のみの無職世帯
消費支出(月平均額) 14万5430円 25万959円
非消費支出(月平均額) 1万2243円 3万1538円
合計額 15万7673円 28万2497円

※総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」より筆者作成
 
国民年金を含めた厚生年金の平均受給額は14万7360円です。平均支出額との収支計算では、1万313円の赤字です。一方、夫婦2人が平均額の国民年金と厚生年金を受給できる場合、2人分を合わせた受給額は29万4720円になります。この場合、収支計算上は1万2223円の黒字です。
 
これらはあくまで平均額を基にした収支計算ですが、単身世帯の場合、年金収入だけでは生活が成り立たない可能性が高いといえるでしょう。
 

国民年金だけでは厳しい

老後世帯の平均支出額は、単身世帯が15万7673円、夫婦のみの世帯で28万2497円です。
 
一方、令和5年度の国民年金の平均受給額は5万7000円でした。受給額や支出額は人によって異なるとはいえ、単身世帯でも国民年金による収入だけで生活費を賄うのは難しいでしょう。厚生年金を含めても、受給額や支出額によっては賄えない可能性があります。
 

出典

厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から1.9%の引上げです~
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
厚生労働省 令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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