「物価が上がると年金額も上がる」と聞きました。物価が上がっている現代、どのタイミングで年金額が上がるのでしょうか?

配信日: 2025.07.13 更新日: 2025.10.21
この記事は約 4 分で読めます。
「物価が上がると年金額も上がる」と聞きました。物価が上がっている現代、どのタイミングで年金額が上がるのでしょうか?
最近、ニュースや新聞で商品の値上がりを目にすることが増えました。年金収入で生活している方は、物価高に応じて年金も上がると聞き、年金額が上がることを期待しているかもしれません。
 
本記事では、物価高で年金額が上がるのは本当なのか、またどのタイミングで年金額が変わるのか、さらに年金収入だけでは生活できない場合の対処法までを紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年金は毎年4月に見直される

年金額は、基本的に毎年4月に見直しが行われ、賃金や物価の変動率をもとに調整されます。また、公的年金被保険者数の減少や平均余命の伸びといった要素は、「マクロ経済スライド」により年金額の改定に反映されます。ただし、物価が上がっても、賃金変動率が物価変動率を下回る場合は賃金変動率が優先されるため、必ずしも年金額が増えるとはかぎりません。
 

年金は物価高に応じて増えているか?

厚生労働省の「年金制度基礎資料集」によると、賃金変動率と物価変動率による、年金額の改定率は、図表1の通りです。
 
図表1

図表1

厚生労働省「年金制度基礎資料集」より引用
 
物価高が懸念されていた令和4年度以降、物価変動率と年金額の改定率がどちらも上がっていることから分かるように、年金額は物価高に応じて増加します。ただし、前述の通り、年金額の改定率は物価変動率だけでなく、賃金変動率やマクロ経済スライドの影響も受けます。そのため、物価高があっても年金額の増加幅が抑えられる場合があります。
 

年金だけでは生活費が足りなくなったときの対処法

年金で生活している方のなかには、物価高により「年金だけでは生活できない」と感じる方もいるでしょう。その場合、どのような対処ができるのかを紹介します。
 

生活費を見直す

生活費を見直して、無駄な支出を減らし節約をしましょう。老後は在宅の時間が増えるため、光熱費や水道代、食費が増えますが、これらも物価高により価格が高騰しているため、使い方を見直しましょう。

・食費:外食を減らして自炊し、間食やお酒などの嗜好品の購入を控える
 
・光熱費:契約会社を見直す、またはプランを最適なものに変える
 
・水道代:洗濯は風呂水を活用する、食器洗いはおけに水を貯めて行う

また、以下の支出も見直すのもおすすめです。

・保険料:不要なプランの解約や最適な保険に乗り換える
 
・通信料:大手キャリアから格安スマホへの乗り換えや、無駄なプランの解約を行う
 
・交際費:すべての飲み会やお茶会などに参加するのではなく、自分が本当に参加したい集まりや行きたい店舗、必要な用事のみに絞って参加する

 

不要なものを捨てるかリユースショップで売る

家にあるものを減らし、持っているものを把握しましょう。不要なものを捨てることで、持っているものを管理しやすくなるのがメリットです。さらに、不要なものをリユースショップで販売すると収入を得られます。

働ける範囲で仕事を継続する

年金受給開始年齢でも、仕事を継続することはできます。仕事を続けると収入を得られるだけではなく、体力や社会とのつながりを維持できるため、心身の健康に役立つのがメリットです。一方で、フルタイムで働く体力を心配される方もいるでしょう。
 
その場合はパート就労や在宅勤務など、体力や状況に合わせた働き方を選ぶことも可能です。また、働いて収入を得ている間は、年金の受給開始を遅らせる「年金の繰下げ受給」を選択することもできます。65歳以降に受給開始を繰下げると、1ヶ月ごとに受給額が0.7%増額されます(最大で75歳まで繰下げ可能)。
 

国の制度を活用する

年金収入を含めても所得が低く、生活が苦しい方は「年金生活者支援給付金」の活用を検討しましょう。年金生活者支援給付金は国の制度で、年金に上乗せして支給されます。ただし、受給にあたっては要件を満たさなければなりません。
 
年金生活者支援制度の適用条件を満たしている方は、日本年金機構からはがきで案内が送付されます。はがきが手元に届いたら、必要事項を記入した年金生活者支援給付金請求書を提出して手続きしましょう。また年金生活者支援給付金について気になる方は、給付金専用ダイヤルや年金事務所で問い合わせすることをおすすめします。
 

年金だけでは生活できない場合は、支出の見直しや働くことを検討しよう

年金は、物価や賃金の変動によって年に一度、4月に見直しが行われます。年金額は物価や賃金の変動率、マクロ経済スライドの影響を受けて見直されますが、年金収入だけでは生活が苦しい場合には、支出の見直しや働きに出ることを検討しましょう。また、それらの対処を行っても生活が厳しい場合は、国の制度である「年金生活者支援給付金」の活用を検討しましょう。
 

出典

厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします
日本年金機構 年金Q&A Q 年金額はどのようなルールで改定されるのですか。
厚生労働省 年金制度基礎資料集
日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 年金生活者支援給付金について
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問