50代後半の専業主婦、夫の退職を目前に「年金受給額」が気になってきた! 専業主婦の年金っていくらくらい?夫の年収によって変わるの?

配信日: 2025.07.14 更新日: 2025.10.21
この記事は約 4 分で読めます。
50代後半の専業主婦、夫の退職を目前に「年金受給額」が気になってきた! 専業主婦の年金っていくらくらい?夫の年収によって変わるの?
最近の働き盛り世帯は共働きが多数ですが、50代の夫婦の場合は「妻が専業主婦」という家庭も多いです。夫の退職が迫ってくると、「専業主婦っていくらくらい年金がもらえるの?」と気になる方もいらっしゃるでしょう。
 
今回は、専業主婦の年金額の目安と、年金額は夫の年収によって変動があるのか確認してみましょう。
三藤桂子

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルマザーとあらゆる立場を経験した後、FPと社会保険労務士の資格を取得し、個人事業主から社会保険労務士法人エニシアFPを共同設立。

社会保険労務士とFP(ファイナンシャルプランナー)という二刀流で活動することで、会社側と社員(個人)側、お互いの立場・主張を理解し、一方通行的なアドバイスにならないよう、会社の顧問、個別相談などを行う。

また年金・労務を強みに、セミナー講師、執筆・監修など首都圏を中心に活動中(本名は三角桂子)。

https://sr-enishiafp.com/

大学卒業→就職→結婚→退職

日本の家庭の在り方は、大きく変化してきました。かつては「夫が外で働き、妻が家庭を守る」という家庭が多かった時代から、1990年代に逆転し、共働き世帯が増え、働き方も多様化しています。現在50代の夫婦で考えると1990年代に大学卒業後に働き始めた人が多い時期です。
 
50代後半の専業主婦にスポットを当ててみると、バブル景気に学生時代を満喫し就職という世代です。さらに就職後、5年前後で結婚、退職という人が多く、日本の労働力率を見ると、30歳前後で労働力が低下する「M字カーブ」といわれています。
 
今回の事例では、M字カーブ上の中間にあたる30歳で退職し、子育てが終了したものの働くことはしないで、専業主婦のまま夫が定年退職時期を迎えた、専業主婦Aさんの事例をお伝えします。
 

ねんきん定期便等で年金受給額を確認してみる

日本に住んでいる20歳から60歳までの人は、国民年金の第1号から第3号のいずれかに加入することになっています。Aさんが20歳の頃は、基礎年金制度ができていましたが、学生の人は任意加入の時代だったかもしれません。国民年金を納付していなければ、20歳からの学生期間は「未納」もしくは年金の加入期間がない人もいます。
 
卒業後に就職をして、社会保険に加入した働き方をし、結婚後に退職したAさん。配偶者(夫)の扶養、国民年金の第3号被保険者となりました。現在も夫が会社員であるため、7歳年下のAさんは、配偶者の扶養となっています。
 
配偶者が、65歳で退職することになります。夫が65歳時ではAさんは58歳、Aさんは自身で国民年金を納付する、国民年金第1号被保険者となります。忘れずに手続きしないと、未納となってしまうので、年金事務所で種別変更の手続きをしましょう。
 
国民年金の第1号、第3号のどちらにしても、国民年金の加入は、原則60歳までとなります。ただし、60歳で満額でない人は任意加入することで、年金額を増やすことができます。
 

国民年金は定額

Aさんは、少し厚生年金保険に加入していた期間があるものの、あとは夫の扶養だったため、国民年金の第3号被保険者です。国民年金である老齢基礎年金は定額です。2025(令和7)年度の満額(480月)は、83万1700円です。
 
自身で国民年金を納付している人も、配偶者の扶養になっている人も定額受給です。配偶者の年収によって変わるものではありません。
 
Aさんの年金加入履歴を見てみましょう。20歳から22歳までは学生のため未納。23歳から5年間、厚生年金保険に加入。その後、結婚退職し、以降ずっと配偶者の扶養になっています。
 
65歳から受け取る年金額は……

(1) 老齢基礎年金:79万115円(83万1700円(2025年度満額)から学生期間24月除く)
(2) 老齢厚生年金:6万5772円(標準報酬月額20万円、60月で計算)
(1) + (2) =85万5887円となり、月額約7万1324円です。

 
厚生労働省の「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」には、本年度から【多様なライフコースに応じた年金額】が載っています。国民年金 (第3号被保険者期間)中心 (20年以上)の女性は7万6810円となっており、Aさんと近い年金額であることが分かります。
 

まとめ

Aさんは、学生期間に未納となっていた期間(24月)を60歳から国民年金の任意加入することで、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。公的年金制度、特に国民年金は、老後の安定した生活を支えるセーフティーネットであるため、保険料も年金額も定額です。夫の年収で変わるものではありません。
 
自身の年金額を増やしたいと考えるのであれば、国民年金に任意加入する、扶養から外れ社会保険に加入する働き方をする、もしくは、65歳からの年金を遅らせて受給(繰下げ)制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします 〜年金額は前年度から1.9%の引上げです〜
 
執筆者 : 三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問