先日主人が亡くなりました。私の年収は「600万円」ですが「遺族年金」を受け取れる年収に「上限」はあるのでしょうか?

配信日: 2025.07.13 更新日: 2025.10.21
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先日主人が亡くなりました。私の年収は「600万円」ですが「遺族年金」を受け取れる年収に「上限」はあるのでしょうか?
年金制度に加入していた人が亡くなった際、遺族が受け取る「遺族年金」。遺族に収入がある場合、遺族年金を受け取れるのか、もし受け取れる場合、収入に限度はあるのかについて、多くの人が疑問に思うかもしれません。
 
そこでこの記事では、遺族年金の制度の概要、遺族年金を受け取る際の収入についてまとめました。
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遺族年金とは

遺族年金とは、国民年金または厚生年金保険の被保険者(または被保険者であった人)が亡くなった際に、その人の収入で生活が成り立っていた遺族の生活を保障するために支給される、公的年金制度です。
 
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、どちらを受け取れるかは、亡くなった人が加入していた年金制度によります。
 

遺族基礎年金

亡くなった人が国民年金の被保険者(自営業者、フリーランスなど)であった場合に「18歳年度末までの子(障害等級1級・2級の場合は20歳未満)がいる配偶者」または「子ども(18歳年度末までの子(障害等級1級・2級の場合は20歳未満)」が受け取れます。子どもがいない場合、遺族基礎年金は支給されません。
 

遺族厚生年金

亡くなった夫が厚生年金の被保険者(会社員、公務員など)であった場合に、その人が生活費を負担していた遺族が受け取れます。日本年金機構によると、遺族厚生年金の受給対象者の優先順位は以下の通りです。

1・子どもがいる配偶者
2・子ども
3・子どもがいない配偶者
4・父母
5・孫
6・祖父母

遺族厚生年金は、子どもがいない場合でも受け取れます。ただし、30歳未満で子のない妻の場合は、支給期間が5年間の有期給付です。また、夫や父母、祖父母は55歳以上(受給は60歳から)となります。
 
なお、先日、遺族年金制度の改正が行われ、2028年4月以降、段階的に男女とも原則、60歳未満で死別した場合は、5年間の有期給付(要件を満たす場合は継続給付あり)となることが決定しています。
 
遺族年金は所得税法上の非課税所得として扱われます。そのため、年収に加えて遺族年金を受給しても、遺族年金部分については所得税や住民税の課税対象となりません。
 
ただし、健康保険や介護保険の負担限度額認定においては収入としてカウントされるケースがあるため、注意しましょう。
 

遺族年金を受け取れる条件

遺族年金を受け取れるかどうかを判断するうえで、最も重要な概念が「亡くなった人と生計を同じくしていたこと」です。
 
生計維持関係が認められるためには「同居」あるいは「仕送り」「受け取る側の年収が850万円未満であること」が必要です。
 
ここでいう「年収」とは、税金や社会保険料などが引かれる前の総支給額(額面収入)です。経費を差し引いた後の「所得」で判断する場合は、前年の所得が655万5000円未満であることが基準です。
 
年収600万円は850万円未満という基準をクリアしています。同一生計だったことが認められれば、遺族年金を受給できる可能性は高いといえるでしょう。
 
遺族年金を受け取れるかどうかは、年収850万円が1つの目安です。しかし、850万円を超えていても、例外として「定年退職が近い」「事業の廃止を予定している」というような場合で、収入が850万を下回ることが確実であると認められると、受給できるケースがあります。
 
なお、この850万円未満の収入要件についても、先日の遺族年金改正により見直される予定であることから、今後は最新情報をチェックしてください。
 

遺族年金を受給できる年収の上限は850万円。収入に変動がある場合は相談が必要

年収600万円の場合、遺族年金の年収制限である850万円を下回っており、年収面での受給資格は満たしているといえます。遺族年金を受け取るには、年収制限以外にもさまざまな要件があるため、総合的な判断が必要です。
 
遺族年金は非課税所得であり、現在の収入に加えて受給しても税負担が増加することはありません。今後、もし年収に変動がある場合、制限内であれば問題ありません。しかし、大幅な収入増加が見込まれる場合は、事前に年金事務所へ相談することをおすすめします。
 
遺族年金の請求は多くの書類が必要で、個々の状況によって判断が異なる部分もあります。確実に受給できるよう、不明点があればその都度確認し、適切な手続きを行いましょう。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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