2026年10月から「年収100万円」のパート勤務でも“年金保険料”を負担することに!? 負担額はどれくらい?「手取り額」やメリットを解説

配信日: 2025.07.12 更新日: 2025.10.21
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2026年10月から「年収100万円」のパート勤務でも“年金保険料”を負担することに!? 負担額はどれくらい?「手取り額」やメリットを解説
物価高や生活費の上昇が続いていますが、パート勤務で家計を支える人にとって、手取りが減るのか増えるのかは、生活に直結する重要な関心事です。
 
そんな中、2025年6月13日、国会で成立した「年金制度改正法」により、パートタイムなどの短時間労働者を対象とした厚生年金の加入ルールが見直されました。これまで年収や勤務先の規模などによって適用除外となっていた人も、今後は社会保険への加入義務が拡大していく見込みです。
 
本記事では、現在年収100万円で働くパートの人を中心に、制度変更の影響や負担額の目安、そして社会保険に加入することによって得られるメリットを解説します。
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法律改正の内容とは?

これまで、パートなどの短時間労働者が厚生年金(および健康保険)に加入するためには、以下の条件を全て満たす必要がありました。
 

・週の所定労働時間が20時間以上
・月収8万8000円(年収で約106万円)以上
・勤務期間が2ヶ月を超える見込み
・学生でない
・従業員51人以上の企業に勤務

 
しかし、2025年6月に成立した年金制度改正法では、このうち「年収要件」と「企業規模要件」が段階的に撤廃されることが盛り込まれました。2026年10月から以下のような制度変更が行われます。
 

・年収要件(106万円以上)を撤廃
・企業規模要件も段階的に撤廃(2035年までに完全撤廃予定)

 
つまり、将来的にはパートで週20時間以上働いていれば、たとえ年収が100万円であっても、企業の規模に関係なく厚生年金・健康保険への加入対象となるのです。
 

年収100万円のパートにとっての負担額は?

それでは、実際に厚生年金に加入する場合、どれくらいの保険料負担が発生するのでしょうか。
 
例えば、東京都在住40歳で年収100万円(月収約8万3000円)の場合、概算で以下のような負担が想定されます(2025年度の保険料率ベース、東京都で協会けんぽ加入の場合)。
 

・厚生年金保険料:8052円
・健康保険料:5060円

 
つまり、合計で約1万3000円の手取り減少です。これまで保険料を負担していなかった人にとっては、新たな出費と感じるかもしれません。
 

社会保険に加入するメリット

ただし、社会保険に加入すると、負担が生じる代わりにいくつかのメリットも享受できます。
 
例えば、厚生年金に加入すると、基礎年金(国民年金)に加えて厚生年金の報酬比例部分が上乗せされます。支給額が増えるので、より安定した老後の収入につながるでしょう。
 
また、厚生年金に加入していると、遺族年金や障害年金も国民年金より手厚くなります。特に、万一に備えた保障として、会社員と同じ水準の備えが得られるのは大きな安心材料です。
 
さらに、健康保険にも加入しますので、けがや病気で仕事を休んだときの「傷病手当金」や、出産時の「出産手当金」が支給されます。
 
こうした給付は、いざというときに保険料以上の助けとなる可能性があります。その安心感は保険料の負担以上のものといえるでしょう。
 

まとめ

新しい社会保険制度では、年収100万円で働くパート労働者も社会保険の負担対象となる可能性が出てきました。月に1万円強の保険料負担は確かに痛手かもしれませんが、将来の年金受給額アップや、病気・出産時の手当など、多くのメリットが得られます。
 
制度改正は少し先の話とはいえ、企業側にも対応が求められるため、すでに働き方の見直しが進められている場合もあるかもしれません。個人としても、自身の働き方や今後の収入見込みを把握したうえで、早めに情報収集と準備を進めておきましょう。
 

出典

厚生労働省 社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について
厚生労働省 年金制度改正法が成立しました
全国健康保険協会 令和7年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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