年金が「月10万円」と少ないので70歳まで繰り下げ予定。でも、その前に亡くなったら“今まで払った保険料”はどうなる?

配信日: 2025.07.14 更新日: 2025.10.21
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年金が「月10万円」と少ないので70歳まで繰り下げ予定。でも、その前に亡くなったら“今まで払った保険料”はどうなる?
年金の月額が10万円ほどだと、老後の生活に不安を感じる人も多いでしょう。そのため、受給開始を70歳まで繰り下げて、年金額を増やそうと考える人もいます。
 
ただ、そこで気になるのが「その前に亡くなったら損なのでは?」という不安。これまで長年払ってきた保険料はどうなるのでしょうか?本記事では、繰下げ受給のリスクや遺族に支払われる給付について、わかりやすく解説します。
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年金の繰下げ受給とは? 70歳まで待つと本当に得?

公的年金は原則として65歳から受け取れますが、自分の意思で受け取り開始を最大75歳まで遅らせることもできます。これを「繰下げ受給」といいます。
 
たとえば、70歳まで繰り下げた場合、65歳から受け取るよりも年金額が42%増えます。65歳で月10万円の年金なら、70歳からは14万2000円受け取れることになります。一見お得に見えますが、「その前に亡くなってしまったら?」というのが今回のテーマです。実はこの場合、ある重要な注意点があります。
 

繰り下げ中に亡くなったら、年金や保険料はどうなる?

70歳まで繰り下げるつもりでいたとしても、その前に本人が亡くなってしまえば、本人は年金を受け取れません。
 
では、「これまで納めた保険料は戻ってくるのか?」と気になるところですが、原則として戻ってきません。保険ではなく年金制度のため、支払った分を回収する仕組みではないのです。
 
ただし、亡くなった方に生計を共にしていた遺族がいれば、一定の条件のもとで受け取れる給付があります。それが「未支給年金」と「遺族年金」、そして条件次第で「死亡一時金」です。
 

遺族が受け取れるお金とは?

遺族が受け取れる代表的な給付には次のようなものがあります。
 

1. 未支給年金

年金受給権者が亡くなった場合、亡くなった月までに発生していた年金(未受給分)は、遺族が請求することで受け取れます。亡くなった方と生計を共にしていた配偶者や子どもなど、3親等内の親族が対象です。
 
ただし、繰り下げによる増額分は含まれず、請求した時点から5年以上前の年金は受け取れません。
 

2. 遺族年金(遺族厚生年金)

厚生年金に加入していた方が亡くなった場合、亡くなった方に生計を維持されていた配偶者や子などに対して遺族年金が支給されます。年金額は亡くなった方の加入歴や収入によって異なります。
 

3. 寡婦年金(国民年金加入者向け)

国民年金の第1号被保険者として、保険料納付済期間と免除期間が合計10年以上ある夫が亡くなった場合、妻が60~65歳の間に受け取れる給付です。
 
婚姻関係(事実婚含む)が10年以上あること、夫が亡くなった時点で夫に生計を維持されていたこと、亡くなった夫が老齢基礎年金・障害基礎年金を受給したことがないこと、妻が老齢基礎年金を繰上げ受給していないことが条件です。
 

4. 死亡一時金

国民年金の第1号被保険者として3年以上保険料を納めた方が、年金を一度も受け取らずに亡くなった場合、生計を共にしていた配偶者や子などに対して、12~32万円の一時金が支払われます。ただし、遺族年金を受け取れる場合は対象外です。
 

損をしないために知っておきたい「備え」と判断のコツ

年金の繰下げ受給は、長生きするほど有利になります。ですが、亡くなるタイミングによっては「損」になる可能性があることも理解しておくべきです。自分が70歳まで元気でいられるかどうかに加えて、配偶者など家族が遺族給付の対象になるかどうかも判断材料になります。
 
老後の不安を軽くするには、年金だけに頼らず、貯蓄や私的年金、生命保険なども併せて考えることが大切です。可能であれば、ファイナンシャルプランナーに相談し、自分の状況に合った最適な選択をするようにしましょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 寡婦年金
日本年金機構 死亡一時金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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