遺族年金が「5年限定」になると聞いて不安! 子どもを持つ“40代パート主婦”には厳しい改正ではないでしょうか? 変更点や影響を解説
しかし、「すべての遺族年金が5年で打ち切りになる」というわけではありません。今回の見直しは、会社員や公務員が加入する厚生年金に基づく「遺族厚生年金」の一部が対象であり、国民年金に基づく「遺族基礎年金」は対象外です。
本記事では、今回の年金法改正でどの部分が変更されたのか、そして子どもがいる世帯にどのような影響があるのか、子育てをしながら働く40代前後の女性に向けて解説します。
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目次
子どもがいる家庭はこれまで通り18歳まで受給可能
遺族年金には、国民年金に基づく「遺族基礎年金」と、厚生年金に基づく「遺族厚生年金」の2種類があります。どちらが支給されるかは、亡くなった人の加入していた年金制度や、遺された家族の状況によって異なります。
今回の改正は、厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に支給される「遺族厚生年金」の一部が対象です。そのなかでも、子どもがいない、または子どもがすでに成人している配偶者が見直しの対象となっており、子どもがいる家庭には影響がありません。
なお、子どもがいる配偶者や子ども自身には、これまで通りの「遺族基礎年金」が支給されます。遺族基礎年金の支給期間は子どもが18歳になった年度の3月末日(18歳年度末)まで(障害等級1級または2級に該当する場合は20歳未満まで)です。
2028年度に40歳未満で、かつ18歳年度末の子どもがいない女性は「有期給付」の対象に
今回の遺族年金の改正は、2028年4月から施行される予定です。厚生労働省の「遺族厚生年金の見直しについて」によると、2028年度末時点で40歳未満、かつ18歳年度末の子どもがいない女性は、遺族厚生年金が原則として「5年限定」の有期給付となります。なお、有期給付の額は現行の約1.3倍に加算されます。
ただし、有期給付には配慮措置があり、月収が約10万円(年間122万円)以下の人や障害年金を受給できる人には、5年経過後も継続して遺族厚生年金が給付されます。
子育て世帯をサポートする見直しも。子ども加算が引き上げへ
今回の改正では、「遺族厚生年金」の一部見直しに加え、子育て世帯にとってプラスとなる変更も盛り込まれています。そのひとつが、子ども加算額の引き上げです。
これまで、遺族基礎年金における子ども加算は、1人あたり年額23万9300円、3人目以降は7万9800円とされていました。改正後は、子ども1人につき一律28万1700円に引き上げられる予定です。
この加算額の増額は、すでに受給している家庭も対象となるため、子どもを育てながら遺族年金を受け取っている世帯にとって、実質的な支援の強化といえるでしょう。
まとめ
2028年度末の時点で40代となる人や18歳年度末までの子どもがいる女性は、これまで通り遺族年金を受け取れます。また、自営業など遺族厚生年金の支給対象外となっている人には、この「5年限定」の制度自体が関係ありません。
なお、今回の改正年金法の対象には男性も含みます。これまで、妻の死亡時に55歳未満だった夫は遺族年金を受給できませんでしたが、改正により男女の制度差が是正され、一定条件下で有期給付の対象になります。
将来の年金額について必要以上に不安を抱かないためにも、自分や夫が改正法の対象に含まれるのかを正しく理解しておくことが大切です。
出典
厚生労働省 年金制度改正法が成立しました
厚生労働省 遺族厚生年金の見直しについて
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
