育休中の同僚から「産休中は、厚生年金も国民年金も保険料が免除される」と聞きました。将来の年金は減らないのでしょうか?
そこで、出産前後は国民年金保険料や厚生年金保険料の支払いが免除される制度があるため、チェックしておくとよいでしょう。
本記事では、国民年金保険料・厚生年金保険料それぞれの「産前産後期間の免除制度」についてご紹介します。
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目次
国民年金保険料の「産前産後期間の免除制度」
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人で、厚生年金に加入していない人は、国民年金に加入する義務があります。そのうち、自営業者、農業者、学生、無職の人などは「第1号被保険者」、厚生年金加入者である第2号被保険者に扶養されている配偶者は「第3号被保険者」です。
2019年から、第1号被保険者が出産した際に一定期間保険料の支払いが免除される制度がスタートしています。
日本年金機構によると、免除が適用されるのは出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月間、多胎妊娠の場合は出産予定日または出産日が属する月の3ヶ月前から6ヶ月間の国民年金保険料が免除されます。なお、この場合の「出産」は妊娠85日以上のものであり、死産や流産・早産された場合も含みます。
免除手続きをした人も保険料を納付したものとみなされるため、将来受け取れる老齢基礎年金額が減ることはありません。
厚生年金保険料の「産前産後期間の免除制度」
厚生年金は会社員や公務員が原則加入するもので、国民年金に上乗せする形で受け取ることができます。
厚生年金加入者が出産した場合も、産前産後休業期間中の保険料が免除されます。免除の対象になるのは出産前42日前(多胎妊娠の場合は98日)から出産後56日までの間で、妊娠・出産を理由に働いていなかった期間です。
さらに厚生年金の場合、育児休業期間中も保険料免除制度を利用することが可能です。産前産後期間も含め、被保険者と事業主の両方の負担が免除される仕組みになっています。
また、産前産後休業期間中、育児休業期間中のいずれの免除制度を利用した場合も、国民年金の場合と同じように、保険料を納めた期間としてみなされます。
免除制度を利用する場合の届け出方法
国民年金の産前産後期間の免除制度を利用する場合は、出産予定日の6ヶ月前から届け出が可能です。日本年金機構のホームページから届出用紙をダウンロードし、お住まいの役所や役場の国民年金担当窓口へ提出してください。郵送や電子申請も可能なので確認しておくとよいでしょう。
申請に必要な書類は、産前に届け出をする場合と産後に届け出をする場合とで異なります。産前に届け出をする場合は母子健康手帳と医療機関が発行した出産の予定日などの証明書のみで済みますが、産後の場合はそのほかに戸籍謄(抄)本や出生受理証明書なども必要になるため、なるべく早く届け出た方がよいかもしれません。
一方、厚生年金の免除制度を利用した場合は、被保険者のみでなく事業主の負担も免除されます。事業主が年金事務所などに申告書を提出する形で届け出ることになるため、制度の利用を希望する場合は早めに事業主へ伝えましょう。
「産前産後期間の免除制度」を利用すれば出産前後の保険料が免除される
産前産後や育児休暇中などは経済的な不安を抱える人もいるかもしれませんが、「産前産後期間の免除制度」を利用することで一時的に国民年金保険料や厚生年金保険料の支払いが免除されます。
免除手続きをした人も保険料を納付したとみなされるため、将来もらえる年金額が少なくなるような心配はありません。
国民年金加入者の場合は自分で届け出をする必要があるため、必要書類などを確認しておくとよいでしょう。厚生年金加入者は、事業主が届け出ることになっているため、早めに相談することをおすすめします。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の産前産後期間の免除制度
日本年金機構 厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)
日本年金機構 国民年金保険料の産前産後期間の免除制度
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
