現役時代毎月40万円もらっていたら、将来の年金も「毎月40万円」もらえる?実際に受け取れる金額の目安を解説
本記事では、現役時代の給与と年金受給額の関係や、実際に受け取れる金額の目安について解説します。
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
現役時代の給与と年金受給額の関係
まずは年金の基本的な仕組みから確認していきましょう。年金は主に「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2つで構成されています。会社員や公務員は、原則としてこの2つの年金両方を受け取ることができます。
令和7年度の国民年金は、収入にかかわらず満額で月6万9308円です。つまり、現役時代の収入が40万円でも0円でも、保険料を満額納めていれば、国民年金部分は月額6万9308円受け取れます。
もし、月額40万円の年金を受け取ろうと思ったら、ここに加えて33万円ほどの額を、厚生年金で受け取らなければなりません。しかし、それは不可能です。日本年金機構によれば、平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金は、国民年金含め約16万円です。
このように、現役時代に毎月40万円もらっているからといって、年金も同額もらえるわけではないのです。
なぜ月収40万円あっても、年金は40万円もらえないのか
厚生年金はおおむね払った保険料に比例して、将来受け取る年金も高くなります。しかし、そもそも年金が40万円も支払われることはありません。
なぜなら、私たちが支払う厚生年金保険料は、基準となる月額の給与について、63万5000円を上限としているからです。仮に上限額で40年間働き続けたとしても、65歳から受け取る年金額は(公的年金シミュレーターにて、1965年9月1日生まれの方が20歳から60歳まで年収762万円で就業したと仮定)、年額で235万円、月換算で約19万6000円となります。
年金を増やす方法と老後の生活資金対策
もらえる額が予想以上に少ないと思ったときは、年金を増やす、老後のライフプランを考え直すなど何らかの処置を講ずるとよいでしょう。
考えられる方法のひとつが、年金の繰下げ受給です。年金は通常65歳から受給できますが、繰下げ受給を選択すると、最長で75歳まで、1ヶ月単位で繰り下げることができます。繰り下げる期間1ヶ月につき、受給できる年金額が0.7%増額されます。
例えば、70歳まで繰り下げると、42%増額されるため、月額17万円の年金が約24万円まで増える可能性があります。
また、年金だけで老後の生活を賄うのは難しいケースもあるため、NISAやiDeCoなどを活用して、現役時代から資産を増やしておくのもよいでしょう。特にNISAは年齢制限もなくいつでも現金化できるため、リスクを考慮したうえで年金受給をしながら始めてみるのも悪くはないでしょう。
年金や収入を増やすのも限界があると感じたときは、老後の生活費を抑えるために、老後の生活について今一度考え、収支の見直しをすることもひとつの手です。
まとめ
「現役時代に毎月40万円もらっていたから、年金も40万円もらえる」という考えは誤解です。厚生年金の受給額は、現役時代の平均給与と厚生年金の計算式に基づいて決まり、現役時代の給与の半分以下になるケースが一般的でしょう。
年金は老後の支えのひとつであり、それだけで老後を安泰とするものではありません。とはいえ、年金が老後の生活の大切な収入であることも事実です。
老後について必要以上に不安を感じないためにも、年金が少ないと感じたときは早めの対策を始めることが大切です。
出典
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
厚生労働省 公的年金シミュレーター
執筆者 : 柘植輝
行政書士
