60歳で年金の「繰上げ受給」をしようと思いましたが「最大24%減額」と聞いて悩んでいます。もう少し延ばして「63歳くらい」の受給にすれば、そんなに損しませんか?

配信日: 2025.07.24 更新日: 2025.10.21
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60歳で年金の「繰上げ受給」をしようと思いましたが「最大24%減額」と聞いて悩んでいます。もう少し延ばして「63歳くらい」の受給にすれば、そんなに損しませんか?
60歳を迎え、年金の受け取り方を具体的に考え始めると、「繰上げ受給」という選択肢が気になります。しかし、早く受け取れるメリットがある一方で、生涯にわたって年金額が減額されるというデメリットに、一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
 
この記事では、年金の繰上げ受給の仕組みを解説するとともに、60歳と63歳で受給を開始した場合の具体的な違いなどを分かりやすく解説します。
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60歳で繰上げ受給の「24%減額」は具体的にどれくらい?

老齢年金を受け取ることができる年齢は、原則として65歳です。しかし、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に前倒しで受け取ることが可能です。これを「繰上げ受給」と呼びます。早く年金を受け取れるため、退職後の生活費の足しにしたい場合などに活用できる制度です。
 
ただし、繰上げ受給を選択すると、受け取る年金額が減額されます。減額率は、繰上げを請求した月から65歳になるまでの月数に応じて決まり、生年月日が1962年4月2日(昭和37年4月2日)以降の方は、1ヶ月早めるごとに0.4%ずつ減額されます。
 
年金の繰上げ受給による減額率は、一度決まると一生そのまま変わりません。例えば、最も早く受け取りを始められる「60歳ちょうど」で申請した場合、本来の受給開始年齢である65歳よりも5年(=60ヶ月)前倒しとなります。
 
この場合、1ヶ月あたり0.4%の減額が適用されるため、最終的な減額率は「0.4%×60ヶ月=24%」となり、これが繰上げ受給の最大減額です。
 
もし65歳からの年金月額が10万円の場合、60歳から受け取るときは10万円×76%=7万6000円が支給額となります。減額幅は大きく、将来の生活設計にも影響するため注意が必要です。
 

60歳と63歳で受給開始、年金額は具体的にいくら変わる?

では、実際に60歳で受け取る場合と、63歳まで繰上げを控えた場合では、年金額にどれくらいの差が出るのでしょうか。ここでは、65歳から受け取る本来の年金額が月額15万円(年額180万円)のケースでシミュレーションしてみましょう。
 
まず、60歳0ヶ月で受給を開始する場合です。 繰上げ月数は60ヶ月となり、減額率は24%(0.4% × 60ヶ月)です。 年間の受給額は、180万円 × (1 – 0.24) = 136万8000円。月額にすると約11万4000円になります。
 
次に、63歳0ヶ月で受給を開始する場合を考えてみます。 繰上げ月数は24ヶ月(2年)となり、減額率は9.6%(0.4% × 24ヶ月)です。 年間の受給額は、180万円 × (1 – 0.096) = 162万7200円。月額にすると約13万5600円です。
 
この2つを比較すると、受給開始を3年遅らせて63歳からにすることで、月々の受給額は約2万1600円、年間では約25万9200円多く受け取れる計算になります。この差額が、生涯にわたって続くことになります。
 

60歳と63歳「どちらにするか迷ったら」どう考える?

受給開始年齢の選択は、生活設計や健康状態によって異なります。受給額の減額は一生続くため、将来の医療費や生活費も想定して考えることが重要でしょう。
 
もし今後も働く予定がある、自分の健康に自信がある、将来の生活を少しでも安定させたいなら、63歳以降まで繰上げを我慢してみるのも一つの選択肢です。
 
一方で、健康に不安があり、長く働けるか分からないという方や、まとまった貯蓄がなくて少しでも早く安定した収入が欲しいという方にとっては、たとえ年金額が減額されても、早くから現金が手に入る繰上げ受給は大きな安心材料になります。
 
家計の状況や家族構成も合わせて今一度見直してみるとよいでしょう。年金は一度受給を始めると後戻りできないため、納得した上で決めることがおすすめです。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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