仕事を辞めて収入が減ったので国民年金の「免除制度」を申請したら断られた!一人暮らしをしていても、両親が働いていたら対象外なの?
しかし、申請したにもかかわらず「不許可」になってしまうケースもあります。「一人暮らしで自分の収入はゼロなのに、なぜ?」と疑問に思う方もいるでしょう。
国民年金の免除制度には「世帯の所得」も関係しており、親と別居していても両親の収入が影響する場合があります。
そこで本記事では、国民年金の免除や猶予制度について、分かりやすく解説します。
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目次
国民年金の支払いに関するサポート制度
まずは、国民年金の支払いに関するサポート制度である、「国民年金保険料の免除・納付猶予制度」について解説します。
「免除」は保険料の支払いをしなくていい
経済的な理由で国民年金保険料の支払いが難しい場合は、「免除制度」を申請することができます。この制度を利用するには、本人・配偶者・世帯主の前年の所得(1月6月に申請する場合は前々年)が、一定の基準を下回っていなければなりません。
また、失業などにより収入が大きく減少した場合も、免除の対象となることがあります。申請が受理されれば、保険料の全額または一部の支払いが不要です。
支払いが不要になる区分には「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4段階があり、所得状況に応じて適用されます。
「猶予」は保険料の支払いを遅らせる
20歳から50歳未満で、本人または配偶者の前年の所得が一定の基準より少ない場合、「納付猶予制度」を利用できる可能性があります。なお、申請時期が1月~6月の場合は前々年の所得で審査されます。
この制度を利用するには、本人が申請書を提出し審査に通ることが必要です。承認されると、保険料の支払いは一定期間猶予され、単なる未納とは異なる扱いになります。
免除・猶予が適用される収入の目安
この制度を受けるには、申請者本人や配偶者、世帯主の前年所得が決められた基準内であることが条件となります。なお、1月~6月に申請する場合は前々年の所得が対象です。
それぞれの承認基準となる所得額を表1にまとめました。
表1
| 免除・納付猶予の区分 | 承認基準となる所得額 |
|---|---|
| 全額免除 | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 |
| 4分の3免除 | 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など |
| 半額免除 | 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など |
| 4分の1免除 | 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など |
| 納付猶予制度 (50歳未満が対象) |
(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 |
出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」を基に筆者作成
全額免除や猶予では、扶養親族の数によって所得基準が変わり、およそ67万円以下が目安となります。ぜひ、申請時の参考として、自身の状況と照らし合わせて確認してみましょう。
仕事を辞めた理由によっては特例が適応する場合も
失業、倒産、事業の廃止などによって収入が大きく減った場合は、前年の所得に関係なく認められる特例を利用できることがあります。
この制度を活用するには、失業や倒産などの事実を証明する書類の提出が必要です。ただし、過去に同じ理由で申請し、その際に必要な書類をすでに提出している場合には、あらためて提出する必要はありません。
特例の申請を検討している方は、まずは該当する書類を忘れずに準備することが大切です。
国民年金保険料の金額
令和7年度の国民年金保険料は、月額1万7510円に設定されています。なお、保険料は毎月支払うよりも、「前納」を選択しまとめて支払うことで割引が適用されます。
なお、国民年金保険料を納付期限までに支払わない場合、将来、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れなくなる可能性があります。忘れずに納めるよう注意しましょう。
仕事を辞めて収入が減っても、世帯年収によっては免除されない
仕事を辞めて収入が減ったとしても、世帯の収入で決められた額を下回らなければ、免除の対象にはなりません。たとえ一人暮らしをしていたとしても、同じ世帯の家族がいれば世帯年収が所得の基準となります。
納付猶予であれば、本人または配偶者の前年の所得が定められた金額より少ない場合に利用できる可能性があります。該当しそうな場合は、一度相談して申請を検討してみましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
