退職金で昔の「未納分の年金」を納めようとしたら「不可」だと言われました。未納分を補充する方法はないのでしょうか?

配信日: 2025.07.24 更新日: 2025.10.21
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退職金で昔の「未納分の年金」を納めようとしたら「不可」だと言われました。未納分を補充する方法はないのでしょうか?
老齢基礎年金は、過去に保険料の未納期間があると減額されます。一方、免除または猶予された保険料は後から追納することができますが、追納できる期間には制限があります。
 
今回は、年金保険料を後から納める方法と、老齢基礎年金を満額に近づける方法について解説します。
辻章嗣

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

老齢基礎年金の年金額

65歳から受給することのできる老齢基礎年金の年金額は、20歳から60歳までの40年間の保険料納付済み月数や厚生年金の加入期間などを基に、図表1の式により計算されます(※1)。
 
図表1
 
(式)

図表1

 
したがって、保険料の未納期間や免除期間があると、満額の老齢基礎年金を受給することはできません。
 

年金保険料を後から納付する方法

1. 免除または猶予された保険料の追納
 
国民年金保険料の免除、納付猶予または学生納付特例を受けた方は、免除・納付猶予された保険料の全部または一部を後から追納することにより、老齢基礎年金の年金額を増やせます(※2)。
 
追納できる保険料は、追納する月の前10年以内の免除・納付猶予期間に限られ、免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
 
なお、一部免除を受けた期間は、納付すべき一部保険料が納付されていなければ追納することはできません。
 
2. 未納保険料を納付する方法
 
免除や納付猶予を受けることなく保険料を納付しなかった場合は、納付期限(納付対象月の翌月末日)から2年以内であれば、保険料を後から納付することができます(※3, 4)。
 
ただし、納付期限から2年を経過すると、時効により保険料を納めることができなくなります。
 

国民年金の任意加入制度

保険料の未納期間があって満額の老齢基礎年金を受給できない方は、60歳以降に国民年金に任意加入することで、年金額を満額に近づけることができます(※5)。
 
1. 任意加入の条件
 
以下(1)から(4)のすべての条件を満たす方が、任意加入できます。

(1)日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
 
(2)老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
 
(3)20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方
 
(4)厚生年金や共済組合などに加入していない方

2. 加入手続きと納付方法
 
任意加入の申し込みは、60歳の誕生日の前日から行うことができ、居住地の市区町村役場または近隣の年金事務所で行います。なお、さかのぼって加入することはできません。
 
保険料は、任意加入の申し出のあった月分から、原則として口座振替により納付します。
 

まとめ

老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間に保険料の未納や免除期間があると、減額されます。免除や猶予された保険料は、10年以内であれば追納することができますが、未納の保険料は2年で時効となり、それ以降は納付することができません。
 
未納期間がある方は、60歳以降も国民年金に任意加入することにより、老齢基礎年金額を満額に近づけることができます。
 

出典

(※1)日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※2)日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
(※3)日本年金機構 年金Q&A(国民年金の保険料) 保険料を納めなかった期間がありますが、今から納めることができますか。
(※4)日本年金機構 国民年金保険料
(※5)日本年金機構 任意加入制度
 
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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