「遺族厚生年金」が「5年の有期給付」に!? 65歳で夫を亡くした私は70歳で「遺族年金」を打ち切られてしまうのでしょうか…?

配信日: 2025.07.28 更新日: 2025.10.21
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「遺族厚生年金」が「5年の有期給付」に!? 65歳で夫を亡くした私は70歳で「遺族年金」を打ち切られてしまうのでしょうか…?
2025年に成立した年金制度改正法では給付条件の見直しが盛り込まれ、「遺族厚生年金」が5年の有期給付に変更されることにより、「夫を亡くした私は5年後に遺族年金が打ち切られるのでは?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
 
本記事では、どのような内容が改正されたのか、自分がこの変更の影響を受けるのか、などを詳しく解説します。
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年金制度改正法に「遺族厚生年金」の見直しが盛り込まれる

厚生労働省によると、2025年6月13日に成立した年金制度改正法において「遺族厚生年金」の見直しが盛り込まれました。
 
改正の主な目的は、遺族年金制度における男女差を解消し、より公平な制度を実現することです。これまで男性と女性で給付条件が異なっていましたが、改正後は男女共通の基準が設けられます。
 
具体的には60歳未満で配偶者を亡くした場合、原則として5年間の有期給付となります。また、生活再建が困難な場合には5年目以降も給付が継続される配慮措置が導入されます。さらに、給付期間が短縮される代わりに5年間の年金額が増額され、約1.3倍の支給額になる予定です。
 

「見直し」の対象になる方

2028年度末時点で40歳未満で、18歳年度末までの子どもがいない女性は、見直しの対象となります。これにより、新たに30代女性が5年間の有期給付対象となり、厚生労働省の推計では年間約250人が該当する見込みです。一方、2028年度に40歳以上となる女性は、従来通りの制度が適用され、変更はありません。
 
また改正後は、これまで子どものいない男性が遺族年金を受け取れないケースが多かったのに対し、18歳年度末までの子どもがいない60歳未満の男性も5年間の有期給付を受けられるようになります。該当者は年間約1万6000人にのぼると予想されており、女性よりも多くの男性が影響を受けると考えられます。
 
加えて、「有期給付加算」や「死亡分割」といった増額措置が新設され、給付額の増加が期待されます。この改正は2028年4月から施行予定で、配偶者を亡くした直後の生活支援が強化され、特に子どものいない配偶者はより手厚い支援が受けられるでしょう。
 

「見直し」の影響を受けない方

以下に該当する方は今回の見直しの影響を受けません。
 

・既に遺族厚生年金を受給している方
・60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する方
・18歳年度末までのこどもを養育する間にある方の給付内容
・2028年度に40歳以上になる女性

 
従って、掲題の「65歳で夫を亡くした私」は70歳で「遺族年金」を打ち切られることはないといでしょう。
 

まとめ

2025年の年金制度改正案で遺族厚生年金が5年の有期給付に変更されますが、65歳で夫を亡くしても70歳で年金が停止されることはありません。
 
既に遺族厚生年金を受給している方や、60歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生する方など、特定の条件に該当する方は今回の改正による影響は受けません。そして新たに支給額の増額措置が導入され、子どものいない配偶者には手厚い支援が行われるため、2028年4月の施行に向けて内容を理解しておきましょう。
 

出典

厚生労働省 遺族厚生年金の見直しに対して寄せられている指摘への考え方
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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